足拭き猫

コンプリシティ/優しい共犯の足拭き猫のレビュー・感想・評価

3.3
日本に来ればお金が稼いで家族を助けることができると思い、来日する外国人は多いのだろう。順調にレールの上を乗っている内はよいが、いったんそこから外れてしまう危険性がかなり身近なのだと思った。経緯は分からないが、たぶん回りに流されて窃盗団に参加をし、言われるままに名前を変え、たまたま紹介があった蕎麦屋に就職をし、と主体性のないチャン・リャンが「自分」を獲得するまでの物語でもあった。
漢字で意志疎通できて良い、という台詞に、以前北京から来たという中国人男性と漢字でやり取りをした時にまるで通じなかったことを思い出した。
電話越しや、向こうの部屋でされている話を通して物語が進んでいくという場面が幾度となく繰り返され、主人公がおかれている状況の訳のわからなさや日本語をあまり理解できないことへの不安感は表現されているとは思うが、2時間の作品の演出としては途中飽きてしまったというのが正直なところ。来日までの経過が回想によって度々説明されるという部分もしかり。
中国の湖南省、近代化されるきらびやかな中国がクローズアップされる昨今だがまだまだ貧しい地域があるのだな。