島田大輔

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の島田大輔のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

1980年の光州事件時の実話を基に描いた2017年公開の韓国映画。
監督はチャン・フン。ソン・ガンホがトーマス・クレッチマンと共演しタイトル・ロールを演じた。
第90回アカデミー賞外国語映画賞韓国代表作

社会的映画をソンガンホの演技が光る。
驚愕なのは、つい30年前に隣の国で虐殺が起こっている事実がある。
被害者をタクシーで助けるシーンは感動させられる。国の命令とはいえ、抵抗していない市民を殺す軍人の気持ちをいかがなものなのか。
徴兵制度のある国だからなのか?
良心の呵責は韓国軍人にはないのであろうか。またそれを隠そうとする韓国政府にも問題はあるのだろう。

幾度もサボクを探したが、見つからないまま、2016年にヒンツピーターは亡くなった。その思いを最後に込めて発表した。
映画が2017年8月の公開後に韓国国内で大ヒットすると、9月に息子のキム・スンピルがその存在を明らかにした。スンピルは父サボクとヒンツペーターが一緒に写った写真をメディアに公開し、サボクが光州事件の4年後の1984年にガンで亡くなったことを明かしたとの事。

2017年に文在寅大統領は、光州事件の特別検証委員会を設け、再調査に乗り出す

旧全羅南道庁の前でジョンチョルさんは、近くにあるビルに残された弾痕をめぐる疑惑について語った。2016年末、10階部分に177発もの弾痕が発見されたという。なぜ最上階にそんなにも多くの銃撃の跡があるのか。
「『事件当時、軍部によるヘリコプターからの射撃があった』とも言われてきましたが、軍部は『そんなことはありえない』と長いこと否定してきました。ところが、証拠となる弾痕が見つかったため、現在再調査を進めているところです」

そうジョンチョルさんが語ってから3か月後の2018年2月。韓国国防省の特別調査委員会が、当時軍のヘリコプターが上空から市民に無差別に機銃掃射を加え殺害していたことを確認したと発表。この行為は「虐殺だった」と認めたと、ニュースで報じられた。ジョンチョルさんら市民と文政権の真相解明の努力が一つ実った形だ。

劇中に突然ヘリコプターが撮影されたのはこの意味をこめたものであろう。