深谷守

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の深谷守のレビュー・感想・評価

4.5
1980年に韓国・光州で発生した「5.18光州民主化運動」を題材とした実話ベースの映画。
韓国の実情を報道しようというドイツ人ジャーナリストと、たまたま彼を乗せてソウルから光州に行くことになったタクシー運転手の言葉のほぼ通じない友情物語をベースに、時代の混乱が描かれる。
2時間20分もある長尺の映画だが、単なるドキュメンタリーチックな映画ではなく、ユーモアと温かい眼差しを持って、全く飽きることなく、画面に釘付けになってしまう。
日々を生きることに精一杯のタクシー運転手は、最初は金のために行動しているが、やがて光州の悲惨な状況を見て次第に正義に目覚めていく。そして職業意識も相まり、悲惨な国内の状況を世界に発信なければという使命感へと繋がっていく。この心の移り変わりの描写が素晴らしい。
そして、混乱の光州からの脱出のくだりは、さながらアクション映画のようでもある。
こんな骨太の傑作を生む韓国映画の底力にはつくづく感服させられる。
ちなみにラストにはさらに感涙のシーンがある。
恐るべし韓国映画。
深谷守

深谷守