まつり

カランコエの花のまつりのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
4.5
コメンタリー版を見て
改めて大筋以外はアドリブ、本当の学校、音楽なし、役者任せに見えるような作り方ゆえの「リアルさ」があったとしみじみ
本当に、当事者以外に見せたい作品…


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想像以上だった。何よりもリアル。だからこそ価値がある。そんな映画。
エンドロールで嗚咽するほど泣きました。モノローグとか一切なく、リアルな高校生活の音と景色につつまれたものすごくリアルな物語が、高校時代の自分の気持ちを蘇らせて涙が出た。

高校のクラスの雰囲気、高校生感のリアルさに込み上げるものがあった。
下校シーンなどはセリフなく、役者たちにやらせたというからまたすごい。

忘れていた学校という世界の狭さを、友人グループの楽しさを、奇妙な連帯感を、強烈に思い出させられた。学生時代の、あの、強い感情はあるけど言葉にできない感覚も、思い出した。わたしが彼ら学生と向き合える大人だったら何からどう伝えただろうか。一人ひとりと向き合うほどの余裕はあるだろうか。

わたしはこれを乗り越えて生きられただろうか。わたしだったら生きられなかったかもしれない。何かが違ったら、わたしもいずれかの立場でここに立っていただろうと本気で思えた。

過剰な演出も、テンプレートなセリフもなかった。それだけリアルで、わたしが遭遇する可能性のあった世界だった。

でも下の世代にははやく「こんな時代もあったんだ笑」って笑って欲しい。

2018.06.27
まつり

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