まつり

ワース 命の値段のまつりのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
4.5
命に値段はつけられないという大前提のうえで、いくらの補償金を用意するか
という問いに現実的に向き合った人たちの話

すごくよかった

計算式でロジカルに(しかし政府の意向も含め資本主義的な強者を優位に)設定したケン
「前に進むため」「訴訟は勝てない」と言われても
突然かぞくや愛する人を失った人間の感情は「〇〇円支払います」という説明会じゃ満たされるはずがないんだよな…
彼の言葉遣い、寄り添わない表現の多さに冒頭はそわそわしたが、そんな彼が変化するストーリーでもあってよかった

最初の説明会で彼に敬意を示しながらも徹底して戦ったウルフ氏がとにかくかっこよかった

最終的に計算式だけでなくケースごとの聞き取りがされる展開になって本当に安心した
ルールや線引きは物事を考える上で重要だが「何のために」を誤ってはいけないんだよな
その線引きで苦しむ人がいるならそのルールを見直すべき、と考えている人間なのでその姿勢が描かれていることに安心した

かぞくを急に失った人のエピソードはそれだけでしんどいが、
補償の話になると「同性パートナー」や「婚外子」などさまざまな関係性も出てくる
そこまで考慮されていて感心した
同年代の日本では(いや2024年の日本でも)同性パートナーの補償はなかなか認められない問題のひとつ

州法の壁が今回出てきたが、映画「ジェンダーマリアージュ」で描かれる婚姻の平等の実現によってこういう一つひとつの壁が取り除かれていくことの意義も改めて感じた
まつり

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