ワタナベ

あみこのワタナベのレビュー・感想・評価

あみこ(2017年製作の映画)
4.6
これは歪んでいるようでいて純粋で真っ直ぐな恋の映画だ…かなり好きすぎる大好物の物語かもしれない。
ある時たまたま話した魂の会話で一方的に好きになってしまうあれ…自分の中では世界を揺るがすほどの人生一の特別な瞬間だというのに相手にとっては全くそこまでではなかった。
魂で繋がったはずの大好きな人が大衆文化的でありふれた歳上の人間なんかに惑わされ自分の知らないところで恋に落ちてセックスしているなんて許されるはずがない…わかる!わかりすぎる。

Radioheadなんて聴かないような普通のしょうもない奴にこんなにも崇高で頭のいい自分が負けるはずがない…なのにあっという間に奪われてしまう絶望。
そんな奴の何が良いのかと主人公は問う。
回答は「だって可愛いじゃん」「俺サンボマスター好きだよ」これが全て。この一言に尽きるという感じでキレ散らかしてしまいそうになる。
どいつもこいつも普通のやつばかりだしどいつもこいつも普通のやつになってしまう。漫画「悪の華」でいうクソムシばかりの世界なんだよなと思う。

あみこはこれからどう生きれば良いのか?
同じように妥協して普通になっていくべきか、このまま尖り続けて自分の生きたい様に生きているようで周囲とのギャップに苦しみながら生きていくのか。空回りしているのは自分だけ。
いやぁ許したくない。許しがたすぎる。受け入れられない。

でも間違いなくあみこの言葉が好きな人に影響を与えているのは事実だ。「365日のどこかでどうにでもなって良い日がある」という話。彼は一度しか話したことがないあみこの言葉を名前と共に覚えているしそれを成した。あみこにとっては手の届かない領域の人間だと思っていた奴に記憶に残させるほどのことをしている…だからなんだという話でもある。
でもあみこにとっては特別なのだ。ストーキングして東京に出て家を見つけて突撃する程にそれほどまでに純粋でまっすぐな恋だったのだ。
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