このレビューはネタバレを含みます
面白い!珍しいマサオ君回な上でシンプルにクレヨンしんちゃんとしての素晴らしい要素を沢山楽しめるような映画だった気がする。
二郎系ラーメンへの熱狂的な信者をネタに皮肉るのも面白いし「パンツーマルミエ」しか言えなくなる秘孔を突く!などもクレしんらしさがあって笑ってしまう。
しかしなんとラスボスがヒロインのお姉さんという構図は結構珍しいのではないだろうか。
僕は仏教の寺の息子に生まれたが、その一部研修の中でカルト宗教について考えるというものがあった。
もちろんカルト宗教が悪質だとしてその宗教団体に所属している個人を必要以上に弾圧すると、またその弾圧した側もカルト化しているという話がある。
近年ではTwitterことXでの個人への誹謗中傷や、私人警察の過度な取り上げ方などで見られる怖さに近いかもしれない。被害者側に立つのもとても恐ろしいことである上に自分も加害者側になる可能性が高い。
で、まさかのこの加害者側に当てはまってしまったのが今作のヒロインだ。
悪のラーメン製造業者を打倒したかと思いきやその正義の心が暴走し、本来倒すべき相手以外の者にも正義の鉄槌を下し続けてしまう…そんなところを取り上げるのかクレしん!!
締め方も結構好き。
一番早くにプニプニ拳というカンフーの練習を始めたマサオ君だが、周囲のカスカベ防衛隊達が新規でカンフーを始めると瞬く間に抜かされていってしまう。長らく成果をあげられていなかったマサオ君が本来のプニプニ拳の教えである穏やかな心を持ち、解決が困難だとされていた毒素を中和する方法を見出すというアツい展開。冒頭からカスカベ防衛隊達が練習していたダンスで幸せに導くのも良い。