hajime363

デイアンドナイトのhajime363のレビュー・感想・評価

デイアンドナイト(2019年製作の映画)
-
長らく僕の中では“オダギリジョーが一番”だったのですが、そのポジションが脅かされています。本作の阿部進之助さんめちゃめちゃ良いです。
(一番というニュアンスはルックスだけじゃなくて、“何となくイイ”が多分に含まれる総合点です。…何の話ですかね。書いていてよくわからなくなりましたがこの事を誰かに伝えたかったです。)

「愛する家族のいのちが奪われとしたら、あなたなら、どうするだろうかー」
というキャッチコピーが目を引きます。
タイトルはそのままの意味を持ち“昼と夜”というモチーフで“善と悪”、“人間の二面性”を描き、同時に善悪の判断基準に絡める形で“家族≒血のつながりの曖昧さ”を訴えかける。

感想の要約。
対比構造、モチーフは前述の通り非常に分かりやすい。けど、登場人物の心情は解りにくいし、その行動の善悪は判らない(全部良い意味です)。
そして何と言っても、画、セリフ、演技がとてもとても魅力的な映画でした。説明的に感じる方も多いかと思いますが、個人的には好きな映画です。

分かりやすいと言ったのは、人物設定や物語の展開。
明確な“昼の顔”と“夜の顔”。一方からは善と見なされるが、他方から見れば悪である。それらが半ば非現実的なまでに強調されている印象(短編漫画とかに見られるテーマのための設定、みたいな印象でした)
↑って、ともすると冷めちゃう。でもその辺は単純に見ていて楽しい映像(監督がCM、MVも撮られる方の映画って見ていて楽しい)と、魅力的なセリフで没入感が担保されていた気がする。
脚本段階から主演の阿部さんとプロデューサーの山田孝之さんが芝居をしてセリフを選ぶことで、生きた言葉になるように心掛けたらしいですよ!

上記とリンクしますが、結構突飛な設定だからこそ解りにくいんです(共感しにくい)。とても不思議な感覚でしたが、共感しないからこそ登場人物に“こうなってほしい”みたいな感覚は無く、単純に展開への期待感が増した気がする。

判りにくさ(善悪の判別を付けられない)は本作の中心にあり、冒頭に書いたキャッチコピーを映画製作初期にプロデューサーの山田さんが発したことに由来するそうです。法律だけでは決められない善悪について、山田氏いわく「僕らは疑問に思いましたが、みなさんはどう思いますか?」とのこと。

シーン単位では明石(阿部進之介)と奈々(清原果那)が家族について話すシーンが好き。
「家族を探そう。手伝うよ」
児童養護施設で暮らす奈々の両親を探そうという台詞でありつつ、家族とは何かに迷う二人が寄り添う印象的なシーン。

他にも良い台詞がてんこ盛りなんです!
「俺じゃねーだろ」とかね、すごい好きなんです。観てない人には何のこっちゃですね。あーもう1回観たい。
hajime363

hajime363