ハワード(ピーター・フィンチ)がキャスターを務めるニュース番組は視聴率が低下。テレビ局UBSは企業によって買収、ハワードは解任されることに。鬱状態に陥ったハワードは生放送で翌週の公開自殺を予告する。しかしこの一件によって視聴率は急上昇。野心家の編成主任ダイアナ(フェイ・ダナウェイ)によってハワードを中心に据えた新番組の制作を画策することになるが……
町山智浩氏による解説映像付き上映会にて鑑賞。
『ジョーカー』の元ネタのひとつ。
コレが実話を基に制作されたってんだから驚き。もちろん脚色はされてるだろうが、概ね大きな出来事は実際にあったことからインスピレーションを受けてるよう。
町山氏の解説によると、ベトナム戦争で敗れたことによるアメリカ人の鬱屈した感情や怒りの排出といった背景があったようで殺伐とした空気感が漂っていた。
実際に映画に登場する人物はみな怒り狂っててエネルギーの行き場を無くしてるようにも思える。そのセリフ量も半端なくて言葉の殴り合いだわ。
また視聴率のためならどんなこともするテレビ業界は現代におけるSNSなどのネット社会を予言している映画としても語り継がれてるようでなかなか興味深い。ダイアナは過激な内容を流して視聴率を稼ごうと画策して行くし、この狂気の中へと突き進む姿が恐ろしい。
視聴率を気にして踊らされるテレビ業界人の闇は滑稽に映る。
そしてどんどん歯止めが効かなくなって迎えたラストはブラックがすぎるし、視聴率至上主義への皮肉が衝撃的に突き刺さる作品だった。
🦒きりんメモ🦒
劇中のピーター・フィンチのセリフ「I’m as mad as hell, and I’m not going to take this anymore! 俺はとんでもなく怒っている、もうこれ以上耐えられない!」はアメリカでは非常に有名で、アメリカ映画の名セリフベスト100のうち第19位にランクインしている。