三樹夫

モリーズ・ゲームの三樹夫のレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
4.0
モーグル選手からポーカー場の経営者になって違法賭博で逮捕されるモリーの半生。監督脚本は『ソーシャル・ネットワーク』のアーロン・ソーキンで、所々『ソーシャル・ネットワーク』っぽいというか、『ソーシャル・ネットワーク』のポーカー版かつ女性主人公版と言えるところもある。
好感の持てない主人公に好感の持てないキャラクターしか出てこないというので『ソーシャル・ネットワーク』を想起するし、冒頭のモノローグももそうだし、話があっちこっちへポンポン飛ぶのも『ソーシャル・ネットワーク』っぽい。
主人公はポーカーのプレイヤーでもなければディーラーでもなく、あくまで経営者としてポーカー場に集まる連中と関わっていくが、この映画に出てくる男は全員クズとなっている。現実感のあるクズ男ばっかり出てくるので、クズ男映画ウォッチャーにはおススメの作品。クズ男と対峙する女性主人公という構図だけでなく、劇中でも「男に対する復讐」という台詞があるし、ニューヨークでポーカー場を開く時に女性をスタッフとして集めており、フェミニズム映画として読み取れるだけでなく、フェミニズム映画としても作られている。

出てくる男がマウント欲の塊でクズでキモい。とにかく俺は偉いんだぞと女性より上に立とうと躍起になってくるし支配欲もダダ洩れしている。父親は毒親だし、エクセルも知らねぇクズやしつこくキモいナンパしてくる奴など、出てくる男がこれでもかというぐらいに碌でもない。マシな男として弁護士のおっさんがいるが、娘への接し方がモリーの毒親と一緒というので重ねられており、わりかし嫌なところが漂っていたりする。モリーは大学で優秀な成績をおさめるなど頭が良いが、検察のおっさんや特にエクセルも知らねぇクズが顕著だが、モリーより自分の方がバカというのが明らかになった時に男は癇癪を起しだす。つまり男の自分が女よりバカとなったら何故かキレだすのだが死ぬほどキモい。
良くも悪くも父娘の話という着地をし、クズでバカな男の中で父親と弁護士のおっさんは特別な存在として描かれる。父親と弁護士のおっさんは対となる存在に描写されており、娘への接し方が一緒というのもそうだし、モリーよりバカな男ばっかりのなか数少ないモリーと匹敵しうる知性を持つのが父親と弁護士のおっさんだけとなっているし、クズ男ばかりの中でまだまともな男というのに父親も収まる。同種の映画の『ソーシャル・ネットワーク』より父娘の話に着地するこの映画の方が分かりやすいのは分かりやすい。ただし、父娘の話ですと解答を出されると映画としての余白がなくなる。

主人公は変に真面目で頑固で、会話のそんなところにそんな拘る?と好感の持ちづらい主人公であるが、顧客の家族の人生すら壊れるから顧客の情報は売らんというところが、何の共感も持てない『ソーシャル・ネットワーク』の主人公とは違う作りになっている。
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