紅梅シュプレヒコール

バッド・ジーニアス 危険な天才たちの紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

4.7
公開当時話題になっていたことは知っていたものの機会を逃し未鑑賞だったが、Netflixでの配信が終了するとのことで今回鑑賞するに至った

物語は秀才の主人公がカンニング行為をビジネス化し、金を儲けていくが様々な困難に見舞われていく姿を描くスリリングなものである

高評価の声は聞いていたのでハードルが自然と上がっていたが、事前の期待を大きく上回るほどに優れた作品性に感動させられた

途切れることなく緊張感を持続させていくサスペンス、主人公が不正を行うことで生じていく周囲の人間との間で展開するドラマにエンターテイメント性を与え、120分という尺に綺麗に納めている制作陣の力量の凄まじさに感嘆

ただドキドキハラハラを楽しむだけの作品に終わらず、しっかりと人間の愚かさと美徳を詰めた一作に仕上がっており、欲に取り憑かれ破滅へと向かっていく様を捉えながらも希望に溢れた最後で締めくくる気持ちの良さが今作の魅力

構図、SE等の演出面もクオリティが高く、単調になる危険性を孕んだカンニングシーンをここまで魅力的に描けるのかと感心した

アイテムの使い方も上手く、前半に出てきたアイテムが後半で活かされていく展開づくりも見事

もちろん演者も素晴らしく、クローズアップや鏡やガラスの反射を利用し表情を捉えるショットが多用されながらも鑑賞に耐えられるのは演者の力あってこそだ

久しぶりにあらゆる面で完成度の高い作品を観ることができ満足している