髙田由美

羊飼いと屠殺者の髙田由美のレビュー・感想・評価

羊飼いと屠殺者(2016年製作の映画)
3.9
重すぎる実話。
生死に関わらなくても、社会の構造の中でこういう問題は大なり小なりあるだろう。どこからを問題として捉えるか、どこまでが必要悪と言えるのか。
拗れる前に救済するシステムをどう構築するか、どうそれを機能させるか、責任の所在は?
いずれにせよこういった問題は、大きな犠牲が払われてから初めて焦点があてられるもの。様々な制度や習慣が改善されるときは、それは大抵誰かの苦しみの上にある。
気分良くはないけど観てよかったと思える、考えるところの多い作品。

しかし主人公である弁護人はどうも好きになれん。検事の女性も裁判中は発言がめっちゃ意地悪。それが仕事とはいえ、二人して被告をガンガン精神的に追い詰める。被告の心情や将来には興味なしで、ひたすら職務に務める姿がプロフェッショナルであっぱれだけど好感度は低い。
人物に魅力を感じないのに面白いと思えた映画は珍しい。
髙田由美

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