安堵霊タラコフスキー

30年後の同窓会の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

30年後の同窓会(2017年製作の映画)
3.5
さらば冬のかもめから30年後のあの三人を描いた作品で、最初ジャック・ニコルソンもランディ・クエイドも出ないと知って興味が失せていて、しかしふと全くの別物として捉えたらリンクレイターだしもしや普通に楽しめるのではと考え、安く見られるし試しに見てみたら思いっきりさらば冬のかもめ臭がして複雑な気分。

というのも、中盤から三人が電車で人生について話したり途中の店で買い物したりするシーンが45年前の作品を髣髴とさせ、あの作品を知っていたらキャストもシチュエーションも違うとはいえ否が応でも連想してしまうから、そんなオマージュとも思えるシーンのせいで別物と割り切って見ることが叶わなくなってしまう。

しかもメインの三人は当然といえば当然だが全員前の作品を意識した演技をしていて、特にブライアン・クランストンは別人なのに生き写しの如く全盛期のジャック・ニコルソンみたいな所作を完璧にこなしていて、その力量は見事とはいえここでも見事さ故に前作と別物として捉えることができなくなってしまっている。

なら本当に続編として見ようと思っても、やはりそこには演者が別人という壁ができてしまうから完全に続編として捉えることは叶わず、どのように見たらいいのかと終始困惑してしまった。

作品それ自体に関しては、撮り方に個性や強い拘りが感じられないから微妙とはいえ俳優のアンサンブルは秀逸で楽しめはしたのだけど、前述のようにさらば冬のかもめを考慮したときには本物に近いレプリカという印象が拭えないせいで奇妙なものを見ているという気持ちになって仕方ない困った作品だった。(いっそのことウェイキングライフとかみたいなアニメ風に加工したら作風変えた続編として受け入れられたかもしれないが)