このレビューはネタバレを含みます
ムズイ! 難解というよりも、誰に感情移入すればいいか分からなくて、それが理解を妨げる感じ。容疑者も多いし、警部補の想像が入ってきたり、それがヴィクトリア朝のゴテゴテした美術や装飾にも目をくらまされて、なんかよく分からんスッキリしない印象を持った。
物語は、女なんぞに名を残すなんて高級なことが許されていない19世紀、おまけに女だと性的暴行なんて日常茶飯事。野獣性がなかなか抜けない男たちに下司な行為を繰り返されて、「女=不幸」が鉄板の時代。
主人公のリジーは女優として名を残すことが夢だったけど、最終的には猟奇的な殺人犯として名を残すことに決めました。だから旦那殺し程度のちゃちな殺人で絞首刑になるなんて納得がいかないわ、だって私はあんなに芸術と言えるほど残虐な連続殺人を成し遂げた、すごい女なのよ、ということでリジーが犯人みたいなんだけど、それがロジックとしてちゃんと成り立っているのかは、一回視聴しただけでは私の脳みそでは分からなかった(カナシイネ)。
だからリジーが犯人だった!!衝撃の展開!みたいになっても「はああーすげー、そうだったのかああ、なるほどねええ」とはならず、「まじで。なんのこっちゃ、定番すぎて詰まらんなあ。ちゃんと伏線とか貼ってたんだろうか」と納得できず、「もう一度見よう」ってまんまと制作陣の術中にハマるという結果に。
気になった言葉をふたつ。
「傍観者であれ、加害者と同等の血を流させることになる」(ラクタンティウス)
「悪事を防げぬ者は犯人と同罪」