爆裂BOX

アナーキー:無法集団の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

アナーキー:無法集団(2017年製作の映画)
3.6
「パージ:アナーキー」を彷彿させるジャケですが、別に「パージ」の便乗作品でもなんでもないサスペンスです。監督は「スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間」のエリック・イングランド。
酒が苦手なのに毎晩のように足繁くバーに通う平凡な男クラレンスの目的は一目惚れした女性バーテンのアレックス。金持ちだが奥手でアピールできないクラレンスは、女たらしで有名なパトリックを金で雇い、ある作戦を実行する。その夜、パトリック率いる覆面犯罪集団は仕事帰りのアレックスとクラレンスを誘拐し、クラレンスの用意した豪邸に辿り着き、偽りの誘拐計画は順調かと思われたが、逃げようと抵抗したアレックスが偶発的にメンバーの一人を殺害してしまい、更に騒ぎを聞きつけて駆けつけた警官をパトリックが射殺してしまい事態は予測のつかない方法に転がっていく…というストーリーになっています。
ジャケットの様な覆面被った犯罪集団は出てくるけど彼らが暴れまわるバイオレンスアクションではなく、奥手で見た目も平凡な金持ちの男が、一目惚れした女性に自分の存在アピールする為、金で雇った女たらしの計画した偽装誘拐で彼女を救うヒーローになろうと画策するも、予定外のアクシデントが相次いでどんどん死者が出て計画が狂っていく様をブラックユーモア含んで描いたサスペンスですね。
タイトルには「無法者集団」とあるけど、実際はパトリックが雇ったメンバーがポンコツ揃いでバカ集団という感じですね。しかもアレックスも結構強いので、逃げようとした反撃で殺されたり、仲間同士でも謝って殺人が起きたり、通報で駆け付けた警官殺してしまったりしてドンドン死者が出て計画が狂っていくので予測が中々つかない展開が面白かったですね。最初の誘拐してバンに乗せる段階で手際悪い感じ見せてましたし、そりゃこうなっていくわなと思います。
ノア・セガンが女たらしでドンドンクズになっていくパトリック演じてますが、今回はキチガイって訳じゃないけど、小物感溢れるクズ悪党役が合いますね。ポンコツ犯罪メンバーも、すぐ死んじゃう奴以外は、ドラッグ吸引しまくって終始ラリラリな奴とか、スカウト・テイラー=コンプトン演じる予想外の事態にすぐ泣きじゃくるけど、パトリックに結婚持ち出されて婚約指輪渡されたらすぐ上機嫌になる彼女のジェイドなどキャラ立ってたと思います。中でも一番バカなKJはそれ故に一番キャラ立ってたかな。終始マイペースというか呑気な感じでしたね。パトカーからアサルトライフル見つけて「忍者っぽい!」ってはしゃいでたけどどこが忍者だ(笑)皆バカだけど確かにヤバい奴らではありましたね。ジェイドはまともな方だったけど。
銃で撃たれた頭から血と脳漿飛び散ったりという描写もありますが、アッサリしたものでグロさは感じなかったな。
計画はドタバタでグダグダになり、パトリックとクラレンス・アレックスが殺し合いになっていきますが、その中で登場人物同士の意外な関係やある人物の正体と真の計画などが明らかになっていく展開も楽しめました。凄い遠回しな計画だし、彼には何の得もないけど、ただ、彼女に自由になって自分じゃなくても真っ当な誰かと幸せになって欲しくて計画して実行したんだな。流石にこれだけ人が死ぬのは予想外だったと思いますが。
ラストは二人の未来が始まる可能性を感じさせるハッピーエンドな物だけど、普通にストーカーだと思うし、結構ヤバい人だと思います(笑)というか、死にっぷりを見せてくれると思ってたノア・セガンが死ななかったのが一番のサプライズだよ!(笑)
小粒な印象はありますが、中々良くできたサスペンスじゃないでしょうか。トランスワールドアソシエイツ配給作品としては上等じゃないかな。