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ストロング・アイランドのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ストロング・アイランド(2017年製作の映画)
3.0
アメリカで黒人として生きるということ。頑としてカメラを見据え問いかけてくる。ある家族の歩みと彼らに振りかかった悲劇から今日のアメリカの人種差別を描くようなパーソナルな作品で、強烈なポートレート。一切の虚飾を廃し、極限まで削ぎ落とされたシンプルな語り口。ごくごく私的な思い出・心情や事件の記憶から浮かび上がっていくのは殺害されたウィリアム・フォードの人物像や、作品冒頭で明かされるように当時の警察の捜査内容等に頼れない分より周りから数珠つなぎで囲い込み、糸を闇の中手探りに手繰り寄せるような事件当夜の出来事。考察から実像が浮かび上がるような様が当然かもしれないけどすごくリアル。つまり本作を形作るような要素ストーリーテリングそれ自体は、彼女の真実を知りたいという気持ちに相反する非協力的な危機的状況が生んだ苦肉の策かもしれないけど、それが功を奏したように、観客は上手く入りこめば本作と自分自身に深い繋がりを見い出せるだろう。サムネイルなどにも象徴される監督であり妹ヤンス・フォードのアップのように、基本的には動きの無い画が続き、非常に淡々とした語り口であるので、(例えそれが本作をより力強いものにしているとしても一方で)鑑賞を幾分か困難な体験にしているきらいはある。が、それでもやはり強烈。アカデミー賞ドキュメンタリー賞ノミネート作品

正当防衛、妥当な脅威
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