ハンスウ

Taklamakan(英題)のハンスウのレビュー・感想・評価

Taklamakan(英題)(2017年製作の映画)
3.8
ほとんど何も情報がないページですけど、監督はコ・ウンギという人で90年代から地道にインデペンデント映画をやってきた人らしいね。今作は劇場未公開だろうし、たぶん他の作品も日本では公開されたことないのだろうけど、短編なんかも含めて9本くらいは監督作があるらしいです。

ジャケ写も出演者の情報も何にも書いてないけど、今作のヒロインは日本では連ドラの「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で顔くらいは知られてると思うけど、主人公のウ・ヨンウに「春の日差しさん」と呼ばれてた人です。

映画ではこのヒロインがどんな過程を経て殺されるかという、なんとも救いのないドラマが展開されていました。底辺の世界、そういう周辺をうろついてる人たちの物語をいろいろ時系列をいじりながら演出されています。

なんかね、カラオケヘルパーっていう女性派遣業みたいなのがあるらしいんですよ。男性客がカラオケスナックみたいなとこに行ったらホステスが1人もいない。そしたら店の店長みたいな人が外部から呼ぶ形でそのヘルパーたちが客と合流して酒飲んだりカラオケ一緒に歌ったりするっていう、まあ、そういうコンパニオン的な人たちなんです。

それで取り締まりをやたら気にしたりするから合法ではないっていうことなんですね。なんでかって言ったら、客とヘルパーで交渉次第では「2次会」と称してホテルに行くこともできるっていう、ま〜、そういう、なんてゆーか、その、裏風俗的な感じなんだと思います。

ヒロインはベロンベロンに酒に酔ってしまい、ろくな交渉もないままにホテルに連れ込まれ金まで盗まれてしまうと、そんな踏んだり蹴ったりの有り様。それがきっかけで大切にしていた人間関係まで壊れてしまうっていうことがあってからの悲劇が起こるわけです。

今作はね、あちこちロケ地がいいんですよね。目の前に美しい風景が広がるわけではないですよ。底辺だから殺伐とした風景を映し出すんです。人がいなくなった寂れた住宅街とか、再開発待ちの荒れた土地とか、そういう場所がこの映画ではどうすることもできない登場人物たちを描くのに効果的だったと思いました。タイトルのタクラマカンは中国の砂漠なので、一度足を踏み入れたら二度と抜け出せないっていう、そんな意味合いなだけにうまく表現できていたと思います。

決しておもしろい映画ではなかったですけどね〜。でも結局こんな作品が作られてしまう背景が韓国にはあるのかもしれませんね🤔
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