のんchan

シリアにてののんchanのレビュー・感想・評価

シリアにて(2017年製作の映画)
3.8
舞台はシリアの首都ダマスカスのアパートの一室。窓の外は戦地という信じ難い現実。
緊迫の24時間の密室劇をドキュメンタリータッチで描いている。

電気もガスも使え、ネットに接続もできる。でも水道が使えずタンクに溜めたもので節水しながら持ち堪えている。
崩れかけたビル、放置された瓦礫、市街地なのに銃声と爆発音がすぐ近くから聞こえてくる。

一家の長は不在、主婦のオームが取り仕切っている。義父、子供3人、長女の彼氏、間借りしている隣人夫婦と赤ちゃん、メイド、それらの命と安全はオームの判断にかかっている。
スナイパーに狙われるため窓際には近づけない。子供たちに危機感を教えつつ、守るべきものと諦めるものの優先順位を決めなければならない。

その朝、間借りしていた夫が妻子と脱出の手立てを進める為に外出したところを一瞬で狙撃されてしまう。その瞬間をメイドは見ていてオームに教えるが、救出に向かわず妻のハリマにも何故か秘密にしておく...
何も知らないハリマは赤ちゃんを抱えながら夫の帰りを待っている。ハリマの気持ちを知っているからこそ、オームは被弾を隠し、新たな犠牲者が出ないよう気を配っているのだ。

カメラはオームの葛藤に寄り添い、民間人が巻き込まれた戦争のリアルに迫っている。




ただ...腑に落ちないことが...






昼過ぎに盗賊が侵入してオームは台所にみんなを集めるが、ハリマだけが部屋に残されてしまう。
家族の居場所は口を割らなかったハリマがレイプされるのだが😖
オームは助けには行かない。というか、唯一の成人男性の義父(そこまで老いていない)は、助ける素振りすら見せずタバコを燻らせるばかり。

あ〜何か腑に落ちない...
後味の悪いラストになっている。
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