CHEBUNBUN

ナッシングウッドの王子のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ナッシングウッドの王子(2017年製作の映画)
4.5
【好きなことで生きていく】
「好きなことで生きていく」これはYoutuber界の合言葉だ。

しかしながら、アフガニスタンのSalim Shaheen程この言葉が合う者はいなかろう。アメリカのハリウッド、インドのボリウッド、近年注目株のナイジェリア・ノリウッド。世界には沢山の映画林があるが、アフガニスタンにも林がある。その名もナッシングウッド。機材も映画会社もないからNOTHINGWOODだ。

そんなナッシングウッドで、スピルバーグ、はたまたエドウッドと呼ばれる男がSalim Shaheenだ。30年間、内戦で爆破テロがあろうと、ミサイルで死者が出ようと監督、脚本、出演し、B級映画を100本以上撮ってきた男だ。

本作はそんな彼をなんと、女性監督が取材したドキュメンタリー。

冒頭にも言ったが、Salim Shaheenは好きなことで生きている。それも命をかけて、常に爆破で死ぬ恐怖と隣合わせ。しかし、彼は決してカメラを離さず、陽気に映画を撮る。若松孝二も天国で阿鼻驚嘆しているだろう、日によっては4作同時撮影をしている。

そんな彼から滲み出る熱さに興奮されっぱなしだった。彼は「映画監督は貧しい者、弱い者の味方だろ!」とひとたび町へ出ようなら軍人さんも、テロリストも敬意を称されようと、決して傲慢にはならない。

口先だけ、イクゾ気合と叫んでいる某映画館の方とは違う。これぞ「好きなことで生きていく」こと。真のイクゾ気合だ!

ってことで、カンヌ映画祭の頃から観たい観たいと思っていた本作を観られて満足。矢田部さんに感謝な作品でした。
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