三樹夫

ザ・フライ2/二世誕生の三樹夫のレビュー・感想・評価

ザ・フライ2/二世誕生(1988年製作の映画)
3.5
ブランドルの子供をヴェロニカは身ごもっており出産するシーンから始まる。出産後すぐにヴェロニカは死に、ハエ遺伝子を持って生まれた子供は異常な成長速度と高知能を見せる。明らかに碌でもない研究施設に監禁され孤独に過ごすが、同じ施設に勤務する可愛い子ちゃんを好きになり愛を育もうとする。しかしこの映画に出てくる人間は主人公とヒロイン以外全員クズ人間であり、さらに人間の身体からハエ人間の身体へと変態が始まる。人間の身体になるには瞬間移動テレポッドにドナーと一緒に入り、ドナーに人間の遺伝子を提供してもらう代わりに死んでもらうしかないという、大まかなところでやってることは前作とほぼ一緒。

製作費は前作の3倍を使い監督は前作の特殊メイク担当のクリス・ウェイラスで、どういうコンセプトで作られたかというとグロい特殊効果によるグロ押し。前作を観てこのグロい特殊メイクいいじゃんとなったのであろか、もの凄い安易な考えで出来た悪趣味続編映画となっている。
演出が平凡で観ていて退屈する。主人公とヒロインの恋愛演出も、ダンスしてパーティー行ってセックスというあまりにも凡庸。前作ではハエ人間になることは完全な悪夢ではなくむしろ進化ではないか、肉体の変化が影響し精神も変化するというクローネンバーグの肉体理論があり特異な作品だったのが、この映画にも一応クローネンバーグの肉体理論の残滓はあるが、基本的にはハエ人間になることを悲劇と捉えるという凡庸さで残念に思う。
しかしグロ描写は突出しており、挙句の果てに終わり方がとんでもなく悪趣味なサディズムが爆発していて、こんなクズはどんな目に遭ったっていいよね(暗黒微笑)、むしろこれぐらいの罰を受けないといけないよね(暗黒微笑)と、半端じゃない悪意の量で観る者をドン引きさせてくる。凡庸な映画だがこういった悪趣味や悪意だけがやたら突出しているバランス激悪の映画なので何だかんだ楽しめる。グロ犬や次々殺されていく研究所のクズ連中など、ゲロゲログチョグチョの一点特化型になっている。エレベーターで押しつぶされるのとか、こんなのグロ死にをやりたいだけやん。研究所の連中がおしなべてクズなのは悪趣味に殺されていくことに正当性を持たせるためか。セキュリティーのおっさんは情報を意味なく漏出させるわポンコツだわで完全にカカシだったな。
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