モカ

アクト・オブ・キリング オリジナル全長版のモカのレビュー・感想・評価

1.5
真面目に見ようと思っていたのに、途中で飽きて早送りしながら鑑賞。
この映画の話を聞くまで、インドネシアにもクメールルージュのような大量虐殺事件(9月30日事件)があったことを知らなかった。
はっきりとした数字は分からないが被害者数は100万人以上とも言われていて、今でも大部分は伏せられたままタブー扱いとなっている。
そのため監督には「Anonymous」の名が並ぶ。

この映画を見る前にインドネシア人の継父に訊いたのだけど、そんな事件は聞いたことないと言われてしまった。
今や命の危険があるわけはないので、本当に知らないのだと思う。当時住んでいた国民でさえ、田舎に住んでいたら知らなかったのだ。

元殺人部隊のリーダーで北島三郎似のアンワル、ギャングのリーダー、ダチョウ倶楽部の上島似のお腹を持つスルヨノ、その他もそこらへんにいそうな陽気なおっちゃんばかりが主役。
時に踊りだしたり歌ったり、お酒を飲んでジョークを言ったり。
ヤクザとして今でも恐れられているという割には、本当にただの「おっちゃん」である。
この人たちがたった50余年前に無数の罪なき人の命を奪ったとは、到底想像がつかない。

ただ実際は、針金で首を絞めたり、座っているテーブルの脚で首を潰したり、ひどく古典的で残虐な拷問を繰り返し、ゲームのように人を殺していったのだ。

戦争のように殺人者個人に責任が無いとは、到底言える訳もない。虐殺はどんな理由があろうとも赦されることではない。
ただ中盤からアンワルの顔が明らかに曇りだし、後半は目が宙を泳ぎだす。
今や孫をかわいがる、ただのお爺ちゃん。
同情の念が一時でも湧かないかと言われたら、そこは完全否定できない。

見終わった後も非常に後味の悪い作品。
モカ

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