きゅうりのきゅーたろう

東京ヴァンパイアホテル 映画版のきゅうりのきゅーたろうのレビュー・感想・評価

3.8
新宿で大虐殺の場に居合わせたマナミ。彼女はとあるホテルに監禁され、ヴァンパイアのドラキュラ族とコルビン族の争いに巻き込まれ、自身の正体を知ることとなる…というお話。


吸血鬼ものではあるんですが、人間/ヴァンパイア族、支配者/搾取される人々、旧態依然/革新といったあらゆるイデオロギー闘争を描いていたように見えました。

支配者側は建前として旧態依然とした価値観やシステムを批判するが、その実、自身の提唱する新しい価値観に大衆を従わせ、効率的に搾取するシステムを作り上げている。
その新しい価値観とやらに引き込まれてシステムに組み込まれ搾取されてしまえば逃げ出すことは難しい。
合理的で効率の良い新たなシステムは一見心地よく見えるが果たしてそうなのだろうか。
ここに園子温監督の反骨性や受け入れない姿勢を垣間見る。
このホテルそのものが国であったりもっと小さなコミュニティであったり、何にせよ社会に蔓延る搾取のシステムそのものなのだ。

血まみれ+日本刀の夏帆はそれだけでもうこの映画を見る理由になる。