amukmi

娼年のamukmiのネタバレレビュー・内容・結末

娼年(2018年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

前情報何にもなしで三浦大輔が監督しているから、それだけで行った。

結論から言うと笑えるAVだった。
劇場のそこそこ大きいスクリーンに投影されるセックスシーンと大真面目に見に来ている観客とのシュールさにやられてしまって、結構ずっと笑ってしまった。

そもそもセックスってやる側と見る側だとどうも行為そのものの受け取り方に違いがある。
そこに愛があろうとなかろうと、セックスって行為を見る側に立つとどうしてもおかしさが産まれてしまうと思う。
AVなんかまさにそうで、あれは確かにヌくためのオカズとしての側面もあるけれど、男優と女優のプロレスのようなもので、ヌクまでは興奮するのだが、その気がないとやっぱちょっとおかしいものに見えてしまう。
そういう意味でもちょっと笑えてしまうんだよね。

松坂桃李が序盤で披露するAVで覚えたようなセックスが自分本位なセックスって言われるのも確かにな、と納得。
そこから男娼とは言え、愛のあるセックスを見せるのかと思いきや、最後までAVみたいなセックスで、最後まで愛があるようには見えない。
クライマックスには素早い手技で潮まで吹かして、松坂桃李が加藤鷹に見えてくる。
なので、ああこれはAVなんだなと。劇場で流れるAVなんだと気が付いた。
確かに最近女性向けのAVもあって、パッケージに爽やかイケメンの笑顔が載ってたする。
影のあるイケメン松坂桃李がパッケージングされたこのAVは、AVらしくリアリティをまったく感じられなかった。

この映画で何よりもフィクションだなと感じたのは男娼を買う女性たち。
なぜ皆、美人なのか?
確かに美人や可愛い女性がいるのは構わないが、全員が全員それじゃダメだろ。
70歳の老婦が出てきたのは良かったが、あの人も美人だ。
ふざけんなと。
それこそブスやデブ、男娼を買わないと相手にされないような女性も描かないとダメなのでは。
身体を売ってる女性が出てくる映画ではそれこそデブやブサイクだらけ。
実際の風俗嬢なんかもそうなんだから、なおさら松坂桃李にもそういった女性たちを抱かせるべきだった。
そして松坂桃李がそういった女性たちにも真摯に振舞って評価される男娼だったら、感動的だったと思うんだけどなぁ。

良かったのは松坂桃李の演技と、クライマックスの同級生とのセックス後の会話。
あそこだけはドラマがあって二人の心情が感じられて良かった。
クライマックスとしてちゃんと機能していた。
ただ、あそこに成長した松坂桃李の愛のあるセックスがあれば完璧だったのだが、残念ながらAVセックスのままなのでカタルシスは半減。

三浦大輔監督は劇をやってた頃からセックスを描いてきており、本作もセックスと三浦大輔なら間違いないなと思っていたわけだが、全然そんなことはなかった。
むしろ三浦大輔監督、セックス描くの下手なんじゃないのか……?
それくらいに残念だった。
あと脚本も三浦大輔なので、ついでにあげると松坂桃李は自分のことを娼婦と言うけれど、それは女性だけじゃないの? 松坂桃李の役はパイドロスを読んでるような教養が高いキャラなのだから、せめて男娼とかコールボーイとか、そうでもなければ娼年についての説明されるくだりを入れて娼年と呼ぶとかさ。あると思うんだけどなぁ。

個人的にこの作品は身体を売ってる人たち全員をナメてるよ!!!
amukmi

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