このレビューはネタバレを含みます
低予算で無名俳優でもアイデア次第で面白くなる事を証明した作品。やったもん勝ちですね。
冒頭、安っぽい演技と不自然な間延び、さほど強くないゾンビと強すぎる護身術おばちゃんを見せられ、なぜこの映画がヒットしたんだ?と思わせる37分ワンカット。そこに今作のすべてが詰まっていて、作品を楽しむ為の必要不可欠な前ふりとなっていた事に気付かされる。
「バナナの皮で転んだ」と「転んだのはバナナの皮だった」は違うように、結果の後に原因がくる構成は面白い。時系列のシャッフルやタイムトラベルなどの醍醐味と言えるが、今作はそれを表と裏でやったので斬新。表の恐怖に伏線を張り巡らせ、裏の回収で笑いをとるってのが巧い。悔しいけど大笑い。
無名俳優たちは皆個性豊かで、一度登場すると忘れられない顔ばかり。そんな俳優たちが一丸となって止められないカメラの裏側で奮闘するのだが、なんだか楽しそうなのだ。トラブル続きの苦労もあり、監督のこだわりと妥協もあるが、それら全部含めて楽しそう。
そう感じるのはきっと、彼らから「映画愛」が溢れ出ているから。「8 1/2」や「映画に愛をこめて アメリカの夜」を観ると、「映画なんて撮るもんじゃないな、こりゃ大変だ」と思ったのだが、今作の「大変」は自分もまぜてほしくなった。「関係者以外立入禁止です」と後ろから掴まれたらポンとすり抜けて「よろしくでーす」と仲間に入りたい。