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カメラを止めるな!のcanoのレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.6
『カメラを止めるな!』
公開以前は特別話題にもなっていなかったのに、公開当初からFilmarksのトレンドの上位に現れて、書く人みんなが「こんな面白い映画はない、最高」みたいなレビューを書かれていて、ミニシアターのみの上映だったのに気づいたら大手の映画館で上映拡大されていて、なにこれって思いました。やっと、広告は一切見ないで、観に行きました。
 
ゾンビ映画?コメディ?アクション?ヒューマンドラマ?ドキュメンタリー?いえいえ、そんな一括りのジャンルにはできない驚きの映画体験とともに、映画館が笑いに包まれ、なぜだか涙がじんわりあふれます。“こんな映画作っちゃうなんて最高、こんな気持ちにさせてくれてありがとう”の涙です。
 
まず、「ダサくてかっこいい」!!
最近アイドルや、DA PUMPが出した曲の『USA』とか、「ダサくてかっこいい」で売るスタイルを見かけますが、この振り切った感じがなんだかとっても頭に残って気になるこの気持ち。。ダサかっこいいって、めちゃくちゃかっこいいし、良いじゃん!!流行っているオシャレなものより、素直にダサいをやっていることに、直球にグッとくる。
 
それから、本当に芸が細かい。キャラクターが濃い というのもあるけど、実際に周りにいそうな、いろいろな人間像を一人ひとり綿密に落とし込まれていて、ここがみんな共感して理解できるポイントなのかもしれない。それか、それぞれの役者が自然体で演じているからこそリアリティのある空気感になっているのかな。
この感覚は『恋の渦』を観たときに少し似ている。主役だけにではなく、この映画の世界観全体への不思議な親近感。
 
そして、つくり手全員が楽しみながら、いろんな奇跡を起こしてる。途中でカメラのレンズに着く血も、偶然だそう。彼らだからこそ、ハプニングも幸運にできていたんだろうなぁって、また感動。

この映画は、豪華な出演者でも、決して壮大なわけでも、とくべつ映像美が凄いというわけでもないけれども、(私は言うほど映画を観てないのでアレですが)初めてみる創り方の映画だった。
30分ほどのワンカットノンストップ撮影も面白いんだけど、この映画の凄みはそこだけじゃなくて、この96分間は、まるで解説付きのマジックのようだし、クライマックスが何度も、しかも同時にあったりする。最初はぽか~ん状態で本当に最高って思える映画なの?なんて考えてたけど、思わぬ形で“ヒント”がどんどん明かされて、それにああ~だからか!って私たちに気づかせてくれる、自分の中で答え合わせをしていくこの中毒性。
これは観て体感しないとわからない不思議体験です。
 
良い意味で、何回もみたいとは思わないかも。たった一度の一球入魂で、忘れられない作品になる。
どの映画よりも意外性とインパクトがあって、フレッシュな監督と無名役者たちの活き活きとした大きなエネルギーに満ち溢れている。そんな彼らに心から笑えて泣けて、まさかのゾンビ映画なのにぽかぽかした気持ちにさせてくれました。

エンドロールが短そうだから、涙を出し切れるか心配になった。
感動でついつい大事なことを伝え忘れてたけど、映画館全体で最初っから笑いは絶えませんでした。
悔しいくらいに最高の映画です。

あ、あとゆずゆずは生で見てもちょー可愛いです。昔、友達でした(黒歴史)
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