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花束みたいな恋をしたのcanoのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.8
音楽を、イヤホンのLとRを別々で聴いても、曲の本当の良さなんて分からない。度々出てくるこの例えが本当にグッとくる映画だった。
(↓以下少しネタバレかもしれません)

歩幅も歩き方も見てる景色も同じだった2人が、自分たちの成長とともに少しずつ考え方が変わって違う方向に進んでいく。時が経てば経つほど少なくなってく会話とともに、2人の意思に反してどんどんすれ違い溝は大きくなるばかり。
最高潮に幸せだった時は確かにあって、その光をお互いの心の中に灯して、淡々と時間だけが過ぎ、いつの間にか2人でつくっていた時間が、一人ひとりで過ごす時間に慣れていく。

男性が女性の"ためを思って"お金を稼いで楽させてあげようとしたことが、その女の子にとっては1番大事なことじゃなかったり。その"1番"大事じゃないって突っぱねるのは、わがままでもある。お互いにわがままなのかな。

どちらかが子供だとか大人だってことじゃなくて、お互い見ている景色が変わりすぎて、気づいたときにはもう二度と同じものは目に入らなくなってる。
変わっていくことが悪いんじゃなくて、自然なことなのかもしれない。
そうなると、これ以上一緒にいても、あの時の幸せは過去のもので絶対にもどってはこない。

10代20代なんて、まだまだ経験していないことばかりで色んなものを吸収して、人格もどんどん変わるし目標も生き方も変化してく。その真っ只中に恋愛として1人の人と付き合うって、大変で難しいことなのかなって思う。
周りの全ては時間の流れとともに変わっていくのに、恋愛だけ形を変えずに生きていくなんて、簡単なことじゃない。


主役の男女があの2人でよかった。
有村架純、良い役だった。声のトーンも話し方もまばたきも、いつも落ち着いていて、ゆっくりしているのが魅力的。
周りの空気に流されないで自分のリズムをそのままに生きていけたらどんなに素敵だろう。

よくある若い男女のもどかしい恋愛のかたち、めちゃめちゃリアルに描かれてました。
趣味で付き合うのが1番良いとかよく聞くけれど、逆に言えばその趣味をとったら、コミュニケーションすら難しくなる2人ってどうなんだろう。似たもの同士って、良くも悪くも相手の気持ちが分かっちゃうよね。
恋愛ってほんとに難しいよなぁって、難しく考えるから難しいだけなんだろうけど、歳を重ねるほどなかなか上手くいかない気がする。
相手の嫌なところをどれだけ赦せるか、それをストレスと感じないか、それ以上の良いと思える部分があるか。こんなこと、いちいち考えないで生きたいなあ(笑)

まとめるのが難しくてダラダラと同じようなことを何回も書いてしまいました。。
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