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ドント・ウォーリーの一人旅のレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
5.0
ガス・ヴァン・サント監督作。

アメリカの風刺漫画家:ジョン・キャラハンの半生を描いた伝記映画。

オレゴン州生まれの風刺漫画家:ジョン・キャラハン(1951-2010)の自伝「Don’t Worry,He Won’t Get Far on Foot:The Autobiography of a Dangerous Man」を名匠:ガス・ヴァン・サントが映像化した伝記ドラマで、主演最新作『ジョーカー』が間もなく公開されるホアキン・フェニックスが主人公キャラハンを熱演しています。ホアキン・フェニックスは故リヴァー・フェニックスの弟として知られていますが、もはやハリウッド屈指の演技派の地位を確立していることを本作の演技で再確認できます。

1951年生まれ、1972年の交通事故で四肢麻痺となり車いす生活を余儀なくされた実在の米国人風刺漫画家:ジョン・キャラハンの半生を描いた伝記もの。極度のアルコール依存が災いして、交通事故による四肢麻痺というそれまでの人生を一変させる不幸な出来事に遭ったキャラハンの苦悩と絶望、そして新進気鋭の風刺漫画家として再起に至るまでの過程を事実に基づき描いています。

同じ悩みを共有する“禁酒会”の人々や恋人等、キャラハンと彼を支える人々の関わりと繋がりを丹念に映していきながら、幼少期に自分を捨てた実の母親や疎遠となっている養父母を巡る過去との向き合いと清算を経て、やがて持ち前のユーモアを活かし前を向いて生きていくキャラハンの波乱に満ちた半生を、悲観的にではなく、希望的に&軽やかに描き上げた人間賛歌となっています(ジョーカーと違って“闇堕ち”はしない)。

ほぼ全編を車いすの上で演じ切ったホアキン・フェニックスの熱演に拍手喝采でありますし、ルーニー・マーラ、ジョナ・ヒル、ウド・キア、ジャック・ブラックら脇を固めた俳優陣の健闘も光ります。
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