riccca

日日是好日のricccaのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
4.2

「平凡に思える日常を、五感を使って一つ一つ丁寧に大切にしていくタイプの映画かな?」と、観る前から勝手にカテゴライズした自分に恥ずかしくなるくらい、素敵な映画だった。「穏やかな映像や描写に癒されよ〜」なんて安易な気持ちで観始めた自分に喝を入れたいほど。


あんた、お茶好きでしょ。

お湯はトロトロ、水はキラキラ。
掛け軸ってすごい!

一年のうちで、一番寒い時に咲く花もあるのねえ。
今日は節分で、明日は立春でしょ。これから春に向かうのよ。


何より、樹木希林さん演じるお茶の先生の確固たる佇まいに、終始目が釘付けだった。自分が12年間教わった、今は亡きピアノの先生にとっても似ていて(人生で大事にしたいと思う事の殆どは教えてもらったと思っている)、気づいたら常にお2人を重ね合わせてしまっていて、ボロボロ泣いてしまってた。30歳手前の黒木華の歳の重ね方や心情にも共感して、勝手に自分の事まで重ねあわせてしまったりして。水の音を聴いたり綺麗な新緑を見ただけでも涙が出てくるし、歳をとるってこれだから厄介だな〜。でも同時に、こんな映画の様に日々を重ねていけたら幸せだろうな〜〜。


こうしてまた初釜がやってきて、毎年毎年、同じことの繰り返しなんですけれども、でも私最近思うんですよ。
こうして同じ事ができるってことが、ホント、幸せなんだなあって。ねえ? 


最後に樹木希林さんが口にしたこの言葉(と素晴らしすぎる演技)、ああこれは世界中全ての人に響く言葉だと思った。一つ一つ、一日一日、粛々と積み重ねて、慣れて、感じて、気づいて、昇華していくこと。その儚さと豊かさ。暗くて先が見えないものでが溢れかえっている今だからこそ、色んな人の心にすっと入っていく終わり方。
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