まつり

日日是好日のまつりのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
4.5
大きなストーリーがあるというより、映像で魅せる、暖かく、品のある映画だった。時間がゆっくりと、でも確実に流れていく中での節目というか。そういうものを感じた。

長年続けていることが、自分にはあるだろうか。そこにいけば立ち返れる、というものの存在の尊さを感じた。
季節を感じ、お部屋を作り、その時だけの時間を味わうことの大切さ、美しさを見せつけられた。
形骸化したマナーとかはあんまり好きじゃないけれど、花道とか茶道とか、「道」とつくものにはそれとはまた違った力や理由が教えにあるように感じた。こういう風に頭で考えるものじゃあないんだろうけれど。素敵だったなあ。

樹木希林の先生の存在感も素晴らしかった。
その姿に花道も茶道も教えていた、亡くなった祖母を重ねたりもした。茶室もお道具もあるのに教わって来れなかった自分はなんてもったいないことをしたんだろう。と少し悔やむ…。失ってから気づくもの、というものがすごく多かったなあ、自分のなかで。

この映画を観て、長引く梅雨の雨音を聴くことができたので、これからは少し、自然を、流れる季節を感じる自分として生きていきたいなあ。

ふとした時に思い出して、時代に、色んなものに飲まれないようになりたいなと思った。
すぐわかるもの、わかりやすいものばかりが流れていって、スピード感がどんどん加速する世の中に、本当に必要な映画だと思った。こういうのも映画の良さなんだなあ。
見られて良かったなあ。
まつり

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