風の旅人

恋は雨上がりのようにの風の旅人のレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
4.0
若いっていいなぁ、と近藤店長(大泉洋)に年齢の近い私は、橘あきら(小松菜奈)を眩しく思った。
歳を取れば取るほど可能性は狭まっていく。
若い時に持った夢や希望はいつしか片隅に追いやられ、現実的な生き方を選ぶようになる。
この物語は諦念の情に囚われた橘あきらと近藤店長の再生譚である。

橘あきらが近藤店長に惹かれたのは、アキレス腱を断裂し絶望の最中、心に寄り添う優しさに触れたからだろう。
それは近藤店長にとっては何気ない行動だったかもしれない。
しかし橘あきらはその行動によって救われた。
橘あきらはあの時のコーヒーの味を一生忘れないだろう。
そして橘あきらの純粋な想いは、やがて近藤店長の凝り固まった心を解放していく。

45歳のうだつが上がらないファミレス店長と17歳の女子高生の恋愛というのは表層のストーリーに過ぎない。
この物語は人と人が互いに影響(感化)し合い、前に進んでいく過程を丹念に描く。
それは何も近藤店長と橘あきらに限らない。
橘あきらと同じ怪我を負った経験のある倉田みずき(山本舞香)もまた、かつての橘あきらの走りを見て影響(感化)された一人だ。
雨はいつか上がる。
諦めない限り、一度途切れた道は再びつづいていく。