さみしいたけ

恋は雨上がりのようにのさみしいたけのネタバレレビュー・内容・結末

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

もう何回観たかわからんけど何回観てもやっぱ好きだなぁー。
ファミレスの店長の近藤(45)バツイチに、女子高生のあきらが恋をしてしまい、そのファミレスでバイトしてるっていう話なんですけど、もう一本、話の筋があって、あきらは陸上をやっていてものすごく足が速い選手なのですが、アキレス腱断裂で陸上を諦めてしまっています。また店長の近藤も学生時代から本が好きで作家を目指していた(今も諦めてはいない)状態です。そんな二人の普通ではありえない歳の差恋愛話と、そこに二人の追いかけている陸上と作家という目標が絡んできて何度観てもたまらんのです。
この映画は多くのシーンで雨が降っていてそれは陸上を挫折しているあきらの心情を表しているのだと思いますが、アキレス腱断裂して病院帰りに寄ったファミレスで、近藤に「ただ、雨が止むのを待っているだけじゃつまらないでしょう、きっとすぐ止みますよ」と言われ恋に落ちるのも良い。雨が止むまでの間に恋をするっていうのも良い。

「この原稿用紙、これは未練じゃねえ、執着だ。諦めずに足掻いて、でも前に進もうとするなら執着って言うんだ」
近藤の大学時代の友人の台詞ですがいいですよね。45歳の現在も部屋に原稿用紙がある近藤にこんなことを言ってやれるのはとても素敵です。
そしてそんな近藤があきらに対して
「橘さんがそう決めたなら、いつか、懐かしく思える日が来るかもしれない。けど、ただの諦めだとしたら、立ち止まったままになってしまうんじゃないかなぁ」
と言っていたのも好きなシーンです。

45歳でバツイチでファミレスの店長をやりながら、ファミレスでは臭いとか終わってるとか陰で言われながら、いまだに学生時代からの夢である作家を諦めきれない男のなにが悪い。

ラストは近藤がバイトのシフトについて「もう来月は人手が足りてるから入らなくていいから。来月も再来月もずっと」
とあきらの陸上への挑戦の後押しをしてあげるのがたまらんです。

漫画、アニメ、映画、それぞれラストが違うのですが、映画は陸上の練習中のあきらと仕事中の近藤がすれ違い、あきらが目に涙をいっぱいに溜めながら
「私たち、友達ですよね。友達なら、普通、メールとかすると思うんです、私、店長とメールしたいです」
と言って終了。
45歳のおっさんに女子高生が恋?ただのおっさんの妄想映画じゃねえかよと思われる人もいるかもしれないけれど、是非観てほしい。少女とおっさんの夢が詰まったいい映画だから。
夢も希望も失いがちなおっさんたちに是非観てほしい。まぁ現実にこんなことはないけども、それでも希望は持てますよ。そしてこの映画を観ると、自分は人生に対してちょっとやる気が出ます。

小松菜奈最高と思える作品のひとつです。