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GODZILLA 決戦機動増殖都市のKuutaのレビュー・感想・評価

GODZILLA 決戦機動増殖都市(2018年製作の映画)
2.8
どうやら怪獣vs怪獣はハリウッドに委ね、アニメゴジラは人間vs怪獣に拘る様だ。

その点、前作の大きな問題だった、主人公ハルオのドラマが面白くなったのは大きな改善点と言える。

打倒ゴジラに取り憑かれた狂った存在なのかと思いきや、強引な方法を進める味方にも噛み付いて、結局何がしたいんだコイツ…と中途半端な印象が強かった前作のハルオ。これでよくリーダーやってるなぁと。

そんな前作のもやもやが、「人間性vs怪獣」という主題をより明確に提示してくる今作では、「人がゴジラと戦うことへの葛藤」としてがっつりストーリーに絡んでくる。フツアとの共存姿勢も含め、前作に対するアンサーのようで納得感があった。

ただ、こうやって話が熱を帯びてくるのはゴジラが出てくる終盤以降なので、どうしても中盤まではのんびりとした印象。前作同様、前半部の会話の掛け合いは全く面白くない。

ビルサルドのナノメタル化云々でようやく筋が見えて来るものの(自然=ゴジラvs科学=メカゴジラ。「科学を突き詰めた結果人間が怪獣化」という展開は芹沢博士にも通じる)、中盤までのメインであるフツア社会の描写は、表面上の設定をなぞるばかりでビルサルドとの対比も弱く、話が前に進まない。

メカゴジラの設定は従来のゴジラじゃありえないし、徹底的なSF指向って感じで、これはこれで良いと思う(もうちょっと「機動」して欲しかった、いろんな武器を見たかった気持ちはあるけれど)。

戦闘は、接近と離脱を繰り返す空中戦がメイン。明らかに前作の焼き直しではあるけれど、火薬2割増し、ゴジラの見せ場も増量している。前作も戦闘シーンはまあまあ良かった派なので、今回も楽しかった。ゴジラの眼のショットも生物感があって、なかなか決まっていた。

あとは、メカゴジラのギミックやヴァルチャーの動きを活かした強烈な見せ場があれば…。ヴァルチャーが3機しかいないのが寂しい。都市の固定砲台と連携してゴジラを全方向から爆撃するとか、予算的に難しいんだろうか。全編通して言えるが、外しの演出が多い割に大事なシーンでのカタルシスが足りない印象。

何とかしてゴジラ映画の型を壊そうという試みの中、めっちゃモスラな双子ちゃんが出て来たのはなんだかほっこりした。ヒロインのユウコより作画も気合いが入っていた印象。

今作のメカゴジラの扱いを見ると、オチのアレも精神生命体とか宇宙意識とか、そんなSFな感じになるのではと勘ぐってしまう。56点。
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