MikiMickle

パージ:エクスペリメントのMikiMickleのレビュー・感想・評価

パージ:エクスペリメント(2018年製作の映画)
3.5
「パージ」シリーズもついに4作目‼
今作は、過去3部作の前日譚。

不況に苦しむアメリカで、新しくできた政党“アメリカ建国の父” 通称NFFA。全米ライフル協会と国民の支持を得て、共和党よりもタカ派な新大統領が生まれた。
そして、犯罪率の減少のために考え出された政策が「パージ法」。それは1年に12時間だけ殺人を含めた全ての法が免除されるというものだった。

抗議運動が続く中、全国での適用の前にニューヨークのスタテン島内だけでその“実験”が行われることが決定される。
島に残る島民たちには5000ドルの賞金が用意され、積極的にパージ(怒りの浄化)を行ったものには更に報酬が出るというもの…
全世界が注目する中、完全に隔離された島では、生活苦のために賞金欲しさに残る住民たち・パーティーとして楽しむ者たち・強盗やパージで一儲けしようと目論む者たちらの姿がみられた。

そんな中、法案に反対し残った地元民を助けるナイル、貧困から脱出したいがためにパージに参加する弟イザヤ、ナイルの元彼でドラッグ元締めのボス Dは、それぞれに理由があってスタテン島に残ったのだが、想像を絶する夜が待っていた……
非人道的な法律が決まるか否かが決まる一夜。な話。


このシリーズの面白さは、あくまで仮想現実なのに、実際に起こりうるような身近な危険性を示唆している所であると思う。
政治家が国民を人として思っていないことははるか遠くの昔から世界各国で実際に起こっている事実であり、今現在もそれは続いている。
そして、そういった事を描いてきている作品もジャンル問わずにたくさんある。

「パージ」シリーズは、あくまでもエンタメな体系をとりつつも、ツッコミどころとありつつも、その危険性と現実とを辛烈にわかりやすく魅せているのが良い‼ 有りうるリアルさが恐ろしい。そこが好きだ♪

今作では、今までパージを作ってきたジェームズ・デモナコが脚本へと、監督はジェラルド・マコマリーとなった。デモナコの伝えたい社会批判は全くぶれていないし、新監督マコマリーが黒人であるゆえにさらに真実味が増したと思う。主要キャストが黒人とラテン系ばかりなのもリアルだった。

現アメリカにおいて、黒人・ラテン系は人口の多くを占めて増加している。(貧困民だけでなく)
それを快く思わない差別主義者や共和党員も数しれず…、恐怖を感じて一掃処分したいと言うのが彼らの本音であろう。実際問題として。(まぁ、トランプ政権の話ですけどw)

一方で、この映画の舞台となった場所はラッパーグループのウータン・クランを輩出したスタテン島であり、貧困とそれゆえの犯罪がありつつもそれをマンパワーと音楽の力で訴えている場所でもあり、自らの手で自由を‼という地であるのが感慨深い。

そして単純に、様々なマスク姿の面白さはパージシリーズ一貫しており、ビジュアル的に非常に楽しめる‼ 己の本心を隠すためのマスクたちは、不気味で愉快で禍々しい素の姿を表していて、カッコ良さと不気味さ、そして匿名による暴力が混在している‼
今回はアクション要素が多いけれど、ストーリー的に第1話なのでパージ発生タイミングはゆっくり。
ホラー要素は大人しめだけれど、闇夜で監視用コンタクトが青や緑に光る姿はちょっと最近のゾンビチックで好き♪

などなど、今回も様々な意味で楽しめるパージでしたっ♪
MikiMickle

MikiMickle