TOT

ある少年の告白のTOTのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.3
南部のパプテスト協会の牧師を父に持つ少年が参加した、同性愛を「治療」する矯正セラピー。
植えつけられる嫌悪の恐怖、信仰が生む親子の深い溝、痛ましい記憶、アイデンティティの困難の先で、憎しみではなく愛、断絶ではなく対話することの尊さが真摯に迫る。
最後に明かされる現実の重さも。
36州で今も矯正が行われる米国の実話、ガラルド・コンリー原作による脚本は、何の‪免許もないセラピストによる矯正を取り上げて倫理的な強さがある反面、少年が経験した悲しみや喜び、施設の人物(『カッコーの巣の上で』を思い出す)や家族の十分な描写に欠けてもいて、原題「Boy Erased」の意味するところ、物語性は弱まって遠ざかる。
初主演となるルーカス・ヘッジズは、セクシャリティや信仰、家族とで揺れる自我を重層的に表情に滲ませてとても良かった。
フリー怖くて、トロイ・シヴァンは美、ドランはミステリアス。
ドランの役どころは、たぶん他者との接触を避けて自傷に走ってるか、施設職員から密かに暴行を受けてるかだろうけど、その辺が明かされないのも物足りない。
ジョー・アルウィンは役の振り幅がつらいけどやっぱ好きな役者だな。
トークイベントでも言われてたけど、BLビギニング胸キュン感はある。ビギニングは。
撮影は『シングルマン』『シークレット・ヴォイス』のエドゥアルド・グラウ。
‪同性愛矯正治療(コンバージョン・セラピー)についてはこちらの記事も参考になった。
ショック療法や嫌悪療法の詳細、現アメリカ副大統領ペンスが支持してること、若いクィアの自殺率の高さにも触れる。「彼らの目的は、LGBTである自分自身に対する憎しみを抱かせることでした」https://www.huffingtonpost.jp/2016/11/28/conversion-therapy_n_13280312.html‬
TOT

TOT