なおこ

ある少年の告白のなおこのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
4.2
断酒は酒への転嫁を辞めさせる為に、怒りや悲しみの原因を探り、それを許すアプローチをする。同性愛の治療と称したそれは、原因をでっちあげさせ、怒りを転嫁させ、罪でないことを恥じさせる。まったく逆。治療じゃない。調教であり洗脳である行為を、治療と信じる人達が実際にいる恐怖を語られる映画だ。

ルーカス・ヘッジズを目当てで鑑賞。彼の繊細なお芝居が大好きです。誰にも言えない悩み。我慢と諦め。不安と怒り。そして恋の気配を感じさせる表情。その一つ一つを、指先や目線、ほんの少しの微笑み。少年の細い肩で表現するルーカス君のお芝居の繊細さ。上手い。大好き。葛藤する青少年をこんなにナイーブに演じられる俳優は他にいないだろう。

治療の場面は第三者的な画だが、緊迫さが増すとぐっと迫る。大人と少年たちの表情が怖いくらいよく見える。過度なBGMや演出が無く、人が出す音や息遣いがメインで、よりリアリティを感じた。
暴力的な夜と、優しい夜、気持ちが寄り添えない悲しい夜の対比の上手さ。台詞に頼らない、演者を頼った演出が好感。ルーカス君の繊細な演技にとても合っていたと思う。

ジャレッドには母親がいた。その存在がなく、諦めた少年少女が世界にはどれくらいいるんだろう。ただ、父親だって哀しい。誰より愛する息子を理解できないことを苦しむ父親だって、辛い。

エンドロールの挿入曲のパフォーマーのところにゲイリー役の子の名前を何曲か見掛けた。歌手なのかしら?
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