むーしゅ

ニンジャバットマンのむーしゅのレビュー・感想・評価

ニンジャバットマン(2018年製作の映画)
3.1
 DCコミックの「バットマン」を大胆にアレンジしてしまった衝撃作。 主人公バットマンの声は山寺宏一が担当していますが、はっちゃけた役じゃないやまちゃんは、チリチリパーマのやまちゃんが話しているようにしか聞こえないです。なぜか定期的にかっこいい役も担当していますが、キャラクターにあの笑顔が重なってくるのですが。 

 現代のゴッサムシティ。いつものようにヴィランズを追い詰めるバットマンとその仲間たちであったが、ゴリラ・グロッドが開発したタイムリープ装置が起動してしまいその場にいた全員が飲み込まれてしまう。その後、意識を取り戻したバットマンは自分が戦国時代の日本にいること、そして先に目覚めたヴィランズが日本の戦国大名に成り代わり諸国をおさめていることを知る。果たしてバットマンはヴィランズを撃破し、元の世界へ帰ることが出来るのか、という話。DCコミックも新しいことを始めたかったのだと思いますが、この企画を通したことが素晴らしいです。予想以上の親和性に先ず驚きました。

 その主たる要因は間違いなくキャラクターデザインの岡崎能士だと思います。「アフロサムライ」の原作者として有名ですが、以前から小学生の頃に買ってもらった「バットマン:イヤーワン」に影響を受けたと語るほどのバットマンファン。今回の各キャラクターも上手く忍者や侍要素を取り入れ、正直原作よりかっこいいです。特にヴィランズが素晴らしい。元々個性的なキャラクターであるからこそ、それぞれの変化の付け方が面白くて、このフィギュアなら飾りたくなるなぁと思う和テイストなバットマンシリーズのキャラクターが完成していました。この世界観とビジュアルを作り上げたことこそがこの映画の存在理由でしょうね。後ろに控えるグッズなどの周辺ビジネス戦略が見え隠れしている気がしてならないですが、それくらいしっかりしています。確実に続編作りそうですね。

 それに対してストーリーは意外性狙いなのか、ギャグ要素強し。イラストが良いだけになぜここまでコメディに舵をきったのかは謎でした。特に城VS城。せっかくヴィランズが個性的なのに、ジョーカー以外はまともに戦わせてもらえません。ハチャメチャ感を楽しめということなのかもしれませんが、せっかくならちゃんと戦ってほしいですね。お祭りムービーとしてはアリですが、視聴者側が自分なりに世界観を広げていけるしっかりした脚本でお願いしたかったです。DCといえば暗いヒーロー話が売りなわけですし、もっと暗い話でも全然ありだと思うんですが。広く愛されたかったのか、グッズを売りたかったのかその辺りはわかりませんがドタバタコメディになっています。大人なバットマンを期待して見たので、その辺りはかなり残念でした。

 ちなみに本作は、過去の4人のロビンが勢ぞろいしているのが面白いですね。 バットマンといえば相方ロビンの存在は大きいですが、今のロビンは4代目。たいめいけんよりJSBより引き継がれています。その4人が揃っているってなんだかもはやROBIN TRIBEですね。また物語の終盤で現役ロビンが笛を吹くシーンがありますが、演奏する曲はAdam Westのテレビ版バットマンのオープニング曲です。原作への愛も感じてほっこりしました。
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