MasaichiYaguchi

ルームロンダリングのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ルームロンダリング(2018年製作の映画)
3.4
「TSUTAYA CREATOR′S PROGRAM FILM2015」準グランプリ受賞のオリジナルストーリーを池田エライザさん主演で映画化した本作は、幽霊となった死者たちとの交流の中で、不思議な能力を持っているがゆえに孤独だったヒロインが変わっていく様を笑いを交えて描いていく。
「マネーロンダリング」ならぬタイトルの「ルームロンダリング」は、訳あり物件に住むことで事故履歴を帳消ししてしまうという不動産業界の裏稼業を指す。
池田エライザさん演じるヒロイン・八雲御子はアルバイトでこの裏稼業をしているのだが、彼女は霊感が強くて〝あるもの〟が見えてしまう。
彼女は自身の能力ゆえに引っ込み思案で人付合いが苦手であり、そして色々な事情で一家が離散していて、唯一頼れるのは一緒に「ルームロンダリング」稼業をしている叔父の雷土悟郎だけ。
この叔父を演じているのがオダギリジョーさんなのだが、飄々としているようで、優しく温かい眼差しで御子を見守っている。
御子は「ルームロンダリング」案件に住むことで、この世に未練を残した以前の住人と向き合う羽目になるのだが、これら個性豊かな彼らとの交流を通して自分の殼に閉じこもってばかりいた彼女が変わっていく。
本作は「シックス・センス」や「岸辺の旅」に相通ずる映画だと思うが、単なるこの世のものではない存在との交流だけでなく、作品を貫く家族愛があって、それが御子だけでなく我々観客の心も「ロンダリング」する。