千年女優

千と千尋の神隠しの千年女優のレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
3.5
転校で友達と別れることに憮然とする10歳の少女で、両親と引っ越し先へと赴いた荻野千尋。両親に連れられて古ぼけたトンネルをくぐった彼女が、両親が豚になり見たこともない生き物がうろつく世界へと誘われ、心優しい少年ハクとの出逢いや魔女の湯婆婆が営む八百万の神を相手にした油屋での労働を体験する様を描いたアニメ映画です。

アニメ映画の興収記録を塗り替え続けて『もののけ姫』では日本の興収記録を打ち立てた宮崎駿が、友人でジブリと日本テレビの蜜月の関係を築いた奥田誠治の娘をモデルに制作した2001年公開の作品で、前評判を覆す300億超の新興収記録を樹立。ジョン・ラセターの協力で全米公開されるとアカデミー賞では長編アニメ映画賞に輝きました。

アニメ史に残る金字塔で子供が主役のファンタジーながら王道とはかけ離れた作品で、あからさまな比喩や私的な暗喩を多用して子供の社会での独り立ちを描きます。デジタル体制作画での圧倒的な情報量での覇道とも、子供に現実という悪夢を浴びせる外道とも言えますが、他者の献身で「生かされる」学びを僅かな希望として残す一作です。
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