YRFW

千と千尋の神隠しのYRFWのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.8

犠牲の連鎖

舞台は神々の疲れを取るために存在している油屋という温泉のような場所。
この世界観が一番の魅力だ。人間が日常的に行う体を洗うという行動を、神も行い神と人間の繋がりが密接に感じる。
川の神は、ゴミを多く捨てられて、苦しんだ姿で助けを求める。
人が神々を疲弊させ、その疲弊を解消するためにまた誰かが動くという連鎖が起こる。
千も親の傍若無人な振る舞いの犠牲となり、また千を助けるためにハクが犠牲となる。
ハクは、不道徳な行いで職を有していたが、犠牲を払い湯婆婆から離れる決断をする
ただ、未来のハクはどうなるであろうか。
もともと川の神であり、マンション建設により居場所を無くしたのがハクの映画での姿だ。ハクの将来は、希望が残され終わるが、新たな居場所があるのか懐疑的にもなってしまう。

環境破壊

ハクに代表させるように、人間の環境破壊への痛烈な警鐘を感じた。
人類は、発展のために生態系を破壊することを全く厭わない。
どこかで環境破壊によって犠牲のサイクルが周り、いつかそれが人間へと跳ね返ってくる。
ハクに対して、ポジティブな感情をみな一様に抱くだろう。
だが、そのハクを苦しめているのは人間であり、地球の資源サイクルで考えると代償は必ず次世代が負うことになるだろう。

巡り合い
千に対して、煙たがるような雰囲気が序盤の油屋には満ちている。
だがその中でも手を差し伸べてくれる人が多くいる。千もそれに対して誠実に呼応する。ここにリアリティを感じる。
どんな状況でも、必ず温情をかけ行動してくれる人はいるものだ。だがそれに対して素直に実直に返答しなくては、意味がない。
千の成長物語としては、湯婆婆にお辞儀をし、お礼を言うシーンが一番感動した。
YRFW

YRFW