リミナ

劇場版ポケットモンスター みんなの物語のリミナのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

まずタイトルについた"みんな"という言葉。それが指すのは作中の人間とポケモン、さらにはこの作品を観た観客ですが、ときにはネックとなるその言葉に相応しい物語に仕上がっていたと思います。

約100分の尺で主人公のサトシに加えて、オリジナルの主要人物が5人以上が登場して活躍させるという描写不足が起きかねない状況。にも関わらず各キャラが引き起こす問題とその解決、成長まで上手く描ききっています。ロケット団すら結果的には問題解決に一役担っていたのが面白い。
また、その主要人物についても年齢や性別、境遇がバラバラなのが多様性という面で大切なことだなと。
敢えて言うなら、リサの高所恐怖症が聖火を届ける際にはあっさりとした描写だったのが気になりましたね。梯子に手をかけて一瞬踏みとどまるも覚悟を決める描写があった方が良かったと思います。

本作はポケモン映画としては珍しく明確な悪役が存在しない(しいて言うならハンターくらい)特異さがありますが、代わりに一般人が問題を引き起こす引き金となっており、それは現実世界に置き換えても通じることなんじゃないかと思います。
小さな嘘や失敗が巡り巡ってやがて大きな困難として立ちはだかることもありますが、一人で抱え込まずに協力して立ち向かうというメッセージ性があるのかなと。

映像面ではアクション・エフェクト作画が全体的に良く、街の地形を活かした動かし方もあり楽しめました。これまでとは制作スタッフが大幅に変更となったこともあり、これまでにない個性的な面々。

声優面では致命的に引っ掛かる要素は無く、ヒスイ役の野沢さんはこういう演技ができたんだと驚きもありつつ、終盤での信頼感は尋常じゃなかったですね。

総合的に考えて、2010年代のポケモン映画は全部を観切れていませんが、今のところ本作が一番良かったなと。

あと個人的にポルノグラフィティのファンなので、そういった意味でも公開当時に劇場へ足を運んでおくんだったなと思ったり。ブレスの歌詞すごくいい。
リミナ

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