垂直落下式サミング

劇場版ポケットモンスター みんなの物語の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.8
今、ポケモンはメチャクチャ調子がいい。社会現象になったスマホゲーム「ポケモンGO」は言うに及ばずだが、UFOキャッチャーのヌイグルミは毎月新商品が出るし、カードゲームの商品展開にも今まで以上に力を入れている。
ゲームソフトはもちろん、テレビアニメ、ポケモンカード、ポッ拳、ポケモンGO、年に一度の劇場版、来たるハリウッド実写化、それらすべてが巨大なフィールドを形作り、このポケモンムーヴメント全体が一丸となって、今こそ世界の覇権を取りにいくぞ!という感じなのである。
まさに劇場版『みんなの物語』と銘打つに相応しいタイミングだ。
前作の『きみにきめた』では、まさかのピカチュウの人間宣言に面食らった人も多いと思うが、それと比べると本作はいつもの劇場番らしい番外編的な展開でもって、老若男女それぞれの登場人物の視点からポケモンと人間の繋がりを描いている。
登場人物を多くするとキャラ一人一人を掘り下げる時間が短くなり、各キャラに深みをつけることが難しくなると思うが、今回は題名にもある通り『みんなの物語』ということなので、登場人物同士が関わりを持ちながら成長し、100分程度で話をうまくまとめていた。
万人受けするウェルメイド感を打ち出した劇場版の作り方をすると、今まで以上の期待が寄せられると思うが、ポケモンが世間に広く認知され、子供だけのものではなくなった今だからこそできるやり方でもって、時代にひとつの解答を示したのではないか。
感想としては、女の子キャラが物語の傍観者ではなく、今まで以上にしっかりと主役のひとりとして扱われているストーリーに好感を持ったし、イーブイも可愛かったので満足。
ポケモン世代としては楽しんだが、私はこういった懐古的なストーリーじゃなく、今のポケモンをみたい。
アニメというものは本来子供のものだ。子供たちが楽しみにしている年に一度の劇場版なのだから、いつもテレビで活躍しているキャラクターたちを出してあげてほしい。