ぶみ

響 -HIBIKI-のぶみのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
2.0
私は、曲げない。

柳本光晴による漫画『響 ~小説家になる方法~』を、月川翔監督、平手友梨奈主演により映像化したドラマ。
突如文学界に現れた天才少女と、彼女の名を広めようとする編集者等の姿を描く。
原作は未読。
主人公となる鮎喰響を平手、彼女を担当する編集者を北川景子が演じているほか、アヤカ・ウィルソン、高嶋政伸、柳楽優弥、北村有起哉、野間口徹、吉田栄作、小栗旬等が登場。
物語は、天才的な文才を持つ15歳の少女、響が作品を出版社に送付したことをきっかけに巻き起こる騒動を描いていくのだが、この響がかなりのバイオレンス度を誇るというキャラクター。
そんな響を、映画初出演にして初主演となった平手が演じているのだが、なかなかのハマり役。
他にも、小説家の父を持ち、自身も小説家を目指す高校生や、過去の栄光にすがるさえない作家、彼女を付け回す週刊誌の記者等が登場するのだが、いかんせん、原作を読んでいないせいか、登場人物の性格描写が薄く、行動原理がよくわからない。
何より、主人公となる響が、要所要所で暴力を振るい、それはそれで彼女の天才性を補完するような要素となり、彼女の中では一本筋が通っているのだろうが、やっていることは理解不能であるし、それに対して周りの大人があまりにも寛容すぎて、ドン引き。
少なくとも、文学界の話であるのならば、「ペンは剣よりも強し」ではないが、実際の暴力ではなく、言葉の力での勝負を見せてもらいたいところであるし、彼女の書く小説の何が素晴らしいのか、全く伝わってこないのは非常に残念。
また、終盤にある踏切のシーンでも、あのシチュエーションでの電車の制動距離を考えると、リアリティは皆無。
物語としても、どこで盛り上がればよいのか、正直よくわからず、前述のように人物然り状況然り、描写の薄っぺらさが目についてしまったため、終始のめり込むことができず、タイトルとは裏腹に、私の心に響くことはなかった一作。

人の心を動かすのが仕事でしょ。
ぶみ

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