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響 -HIBIKI-のkmtnのネタバレレビュー・内容・結末

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

原作は確か7巻くらいまで読んでたはず。
原作を読んでる時から、「面白いけど、なんか一言いいたくなるような作品」と思っていたが、
実写版も、わりかしそのテイストを良くも悪くも引き継いでいる印象。


主演の平手友梨奈をはじめとして、
キャスト陣は原作をイメージを損なわないキャスティングと演技だったように思う。
特に作中でヒールを演じる高嶋政伸、北村有起哉、柳楽優弥はめちゃくちゃいい(しかし高嶋弟は何年前のゴタゴタ以降、こんな役回りばっかりだなぁ笑)。


小栗旬の役回りもすごい良かったなあ。
ラストに少しだけ響と絡むんだけど、
説明は少なく、それでいて辛さがしっかり滲み出ている。
響のキャラクターも、彼を説得するに十分な力を持つキャラクター性なので、
最後の最後でカッチリと物語が終わった感覚。
なによりオチの部分ですが、私は劇場で吹き出してしまった。えぇ……ここで終わるん!?って。
変にウェットで感動気なオチを持ってくるのでもなく、何とも響らしい。
なかなかに斬新な終わり方だと思った。この映画の終わり方はかなり好きだ。


と言うわけで、
一緒に見た友達と盛り上がったし、
結構コスパはいいんですよ。
でも、言いたいことがあるのもまた事実。


まずこれは原作の問題でもあるんだけど(というか、この映画の嫌なバイブレーションは全部原作によるものだと思う)、
読んだ人すべてが感動する作品なんてあるんだろうか?
そもそもそれって良いことなんだろうか?って私は思う。


響という錦の御旗のもとに、群がる人間の群像劇なんだけど、
こういう「誰もが感動する作品」みたいなものが出てくる作品を見るたびに(BECKとかBECKとかBECKとか)、「じゃあ感動できないやつはクソってことか?」って思ってしまう。
良いと思うものって、人それぞれ違うから面白いんじゃないんだろうか。


そもそも芥川賞と直木賞って選考の観点が異なってるはずなのに、
どっちも取ってしまうって、正直作中の「お伽の庭」がいよいよどんな作品なのか全く見当がつかない。
ただ映画の中にあるのは「すげえ作品」ってことだけ。
劇中で記者が「本当に自分で書いたのか?」、「話題先行の受賞じゃないのか?」と言われていたが、
見ているこっちも、確かに……と言わざるを得ない。どんな作品かさっぱり分からないんだから。
逆に小栗旬が書いている「豚小屋の豚」の方がはるかに内容も想像できるし、読んで見たい。


天才が何だか漠然と、すげー!って言われる作品。それがこの映画であり、原作。
上にも書いた通り、悪い映画ではない。ただ、居心地が悪い映画。
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