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永遠の門 ゴッホの見た未来のkmtnのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

作中でも少し言及がある様に、実は晩年のゴッホは評論家筋から好意的な批評が出ており、存命中に売れる可能性がある画家だった。
とは言え、彼の人生が幸せだったかといえばそうではなく、センセーショナルな耳切り事件を始め、彼の人生は太宰治もかくやな精神不安定との闘いだった。
「売れかけていた」と言えども、やはり売れっ子までは程遠く、極貧と、憧れていたゴーギャンとの対立など、彼の精神は安定したものではなかった。


本作のゴッホは失意に堕ち切ることがなかった。
マッツ牧師との会話のシーンなどで描かれる様に、彼は自分の才能や、美しいと思うものを信じて突き進んでいたという描写が本作ではなされている。
だから従来からよく知られている拳銃自殺という終わらせ方ではなくて、近年出された「地元の子どもたちとの小競り合いから起きた事故死」と言うような、不慮の死(ゴッホの意図しない形での人生の終わり)という形にされている。


これはアーティストとしても成功した過去があるジュリアン・シュナーベル監督の意向が強いように感じた。
燃える様な美しさを信じて描き続けたゴッホが、自殺などする訳がないという、ゴッホに対しての強い思入れ、あるいは憧憬という様に思える。
脚本には、監督も参加している。
ちなみにゴッホの人生は、弟テオの妻ヨーによって過度に脚色されて、世に広められた事実は看過できない。


物語全体としては色々と、良くも悪くも感じることは沢山あるが、ウィレム・デフォーの演技がべらぼうに良いので、結論としてはおすすめです!!
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