スワヒリ亭こゆう

億男のスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

億男(2018年製作の映画)
3.5
映画公開していた時に何故か映画館に観に行こうとは思わなかったんです。
出てる役者、大友監督ならば観に行ってもおかしくない作品なんですが観には行かなかったんです。お金がストーリーに入ってくるんだろうと思い、何だか観に行くのを止めてしまいました。
今回、アマゾンプライムで配信されてたので観てみたんですが、なるほど『芝浜』ですか。


僕は落語が好きなので本作を観てて早い段階でオチが読めました。
『芝浜』
この噺を知っていればピンときますよね。
映画の中で落研のくだりがあり、九十九(高橋一生)が『芝浜』をやってるのを観ればオチが読めちゃうんですよね。


とは言え、大友監督は落語の『芝浜』を理解して作ってると思い、それは嬉しかったです。
『芝浜』っていうのは落語の中でも真打ちだからといって誰でも出来る訳じゃなく、特別な噺家じゃないと出来ない噺なんです。
分かりやすくいうと、大晦日で高座にかけられる事でも有名な噺なんです。
だから映画に取り入れるならば、しょうもない映画だと『芝浜』に見合わない作品となってしまうんです。
それが役者の力、ストーリー展開などで『芝浜』に見合う映画になってたかなぁと思います。


一男(佐藤健)は宝くじで3億円を手に入れる。
このお金の使い方を大学の友人である九十九を頼るんです。
九十九は一男に銀行に預けないで3億円という金を実際に手にして使い方を考えるべきだと言い、一男に銀行から3億をおろしてくるように促す。
言われるがままにお金をおろして九十九の元に行き、言われるがままお金を使ってみる事に。
お金はパーティーを開くことに使われる。
見知らぬ人を招いて大勢で飲み明かす。
酒に飲まれ眠ってしまった一男。
目が覚めると誰もいない。九十九もいない。
九十九と一緒に3億円も消えていた。
一男は九十九と3億を探す事になる。


一男が九十九を辿る上で三人の人間に出会うんです。
九十九と一緒に【バイカム】というものを運営して、その【バイカム】を売ったお金で億万長者になった人物たちなんです。
そこで一男はそれぞれと出会い、お金の事を考えさせられるんですね。
この三人のエピソードを三者三様で見せる事にしたのは、本作の面白さだと思います。
ストーリーを一本道にするのではなく、それぞれのエピソードで見やすく章分け出来てると思いました。


一男が3000万の借金があり、そのせいで愛する妻と娘と別居しているという設定も大事な要素です。
一男にはどうしても3億円が必要というストーリー構成にする為には大事な要素ですね。

お金の事を考えるキッカケになる作品…と言うには大袈裟ですが、なかなか面白い映画でした。