スズタカ

未来のミライのスズタカのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
2.2
『過去があるからこそ、今がある。現在から続いた先に未来はある。』だからこそ、先人には感謝をして、今を大切に生きよう。
これだけで、この映画の全てを表せていると思う。

なんと新鮮味のないテーマだろう。しかも、それを説教くさく、また、個人の倫理観を正しさとして押しつけてくる…それはダメだろう。面白くも何ともない。登場人物が、全員同じ倫理観というのは、あり得ないでしょう。

同じテーマを扱っていても、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とは雲泥の差というか、比べるのも申し訳ない…。

良いところが全くない訳じゃないですよ。アニメーションという手段が、最も適した演出や細かな仕草を表現できているし、映像の美しさも素晴らしいとは思う。

だけれどね、そんなのは映画にとって1番大切なものではないよ。

例えば、『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』を観て、映像の綺麗さが1番良かった、なんて言う人いないでしょう?内容が伴っての映像や演出ですよね。

話や設定自体が、あくまで細田監督だけが考えた『誰にでも当てはまる感動話』。独りよがりなんですよ。客観性の欠如した映画は、エンターテイメント作品ではないよ。

実際、当てはまる人なんてごく僅かだろうということすら判断できていないのは、商業作品の監督としては、かなり厳しいですね。

キャスティングもひどいし、作品内で語られるタイムリープのルールも、シーンによって守られていないし、どうでも良いとしか思えない展開に時間をかけていたり、今回の経験を経たはずの主人公の未来の姿もおかしいし、おかしなところを挙げだすとキリがないです。こんなノイズだらけ穴だらけでガタガタの状況で、何を楽しめるのだろうか。

細田監督は、類まれな技術もセンスも持ち合わせているのは間違いないのだから、全部1人だけで決めるのではなく、周りの信頼できる仲間にもっともっと相談するべきだ。

細田監督の「時をかける少女」は、常に俺のオールタイムベスト10に入っています。それ以降、敬意と期待を込めて、全ての作品を初週に観賞していますが、どんどんバランスが崩れて行っている様子が悲しいです。

次の作品も、必ず初週に観賞に行きます。細田監督、次こそ頼みます。期待していますよ!!
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