Ananas

15時17分、パリ行きのAnanasのネタバレレビュー・内容・結末

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

銃と女の子しか頭にない小学生のような主人公達が、思い出作りのためにヨーロッパ旅行を計画する。ヨーロッパのさまざまな都市で普段相手にされない女性達と幸せなひと時を過ごす彼ら。その後一行は高揚した気分を保ったまま乗車したパリ行きの電車の中で偶然遭遇したテロリストをボコボコにする。事件後彼らはフランス大統領により勲章を授与され英雄となる。

保守層が大好きなキリスト教とアメリカ軍という存在が主人公の1人であるスペンサーの人生に多大な影響を及ぼし彼の人生をプラスの方向に導いていくのだが、どうしてもそれらが映画を通じて強調されすぎているような気がして全く楽しめなかった。

一言もセリフを発する事がなく倒されてしまったあのテロリストの描き方はまさにアメリカでは右派として知られるイーストウッドのステレオタイプだなぁと思ってしまった。ポール・グリーングラスが撮った「ユナイテッド93」ではもう少し深くテロリストグループの人物像が掘り下げられていただけに、どうしても比較せざるをえませんでした。アイスクリームを食べたり、泉の前で自撮りしている様なシーンより、テロリストの心の揺れを個人的にはもう少し見たかったです。

覚悟を持って危機に立ち向かうことができるような人間全員が必ずしも神の教えに従って行動していたり、軍隊で心身を鍛えたりはしていません。この事件を通じて犠牲者が生まれなかった事は不幸中の幸いですが、アメリカという国が育んだ人間がテロの被害を最小限に防ぐ事ができたという事が強調されすぎていたので残念です。

何度でも見返したくなる価値がある映画だとは私は思いません。
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