スズタカ

15時17分、パリ行きのスズタカのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.8
「スペンサー GO!」

この映画は、事実だ。実際に起こったことを描いているんだ。

2015年8月21日に、乗客554名を乗せたアムステルダム発パリ行きの高速鉄道車内で起きた、銃乱射からの、テロ事件を防いだ3人の青年の実話。

犯人であるイスラム過激派の男は、自動小銃AK-47を始め、複数の銃やナイフを所持。弾丸は300発程度も持っていたらしいのですが…そのテロリストに、彼らは真っ直ぐ立ち向かって行ったんだよ。

彼らが成し遂げた偉業と勇気は、ちょっと日本では、リアルに感じられないかもしれないけれど、この重み、解りますか。

例えば…秋葉原の歩行者天国で起こった通り魔事件、覚えていますか?トラックで歩行者天国に突っ込んで人々を跳ね飛ばし、その後も、サバイバルナイフで次々と人々を刺した事件です。その場に自分がいたら、どうします?

オウム真理教が起こした、地下鉄サリン事件だって、そう。その現場に自分がいたとして、犯人に立ち向かっていけますか?

正直言って…俺は、逃げてしまうと思う。また、申し訳ないけれど…それが普通だとも思っているんです。

だけど、彼らは違っていた。その、一切迷いのない行動に…称賛というより打ちのめされた。

この映画は、その出来事をクライマックスにしていますが、そこまでは、その偉業を成し遂げた3人が、どのような人物であるのか、どんな人生を歩んで来たのかを描いています。

いやもうホント、3人とも普通の人物で、どちらかと言えば、ボンクラ側かな?( ^ω^ )

全く立派な人達なんかじゃない。また、事件に向けても、何事もない日常が続くのみ。

そこで描かれていたのが、『彼らは、幼少の頃から正義感に溢れていて、常日頃から非常事態に備えていた』のであれば、どんなに自分の気が楽だったでしょう。だけれど、描かれていたのは、彼らは普通の人たちだ、ということなんです。

つまり、示されているのは、『偉業を成し遂げた青年たちは、観ている君たちと何ら変わらない、普通の人達なんだよ。その時が、いつ来るかなんて分からないけれど、その時、君は彼らの様にやり遂げることができるのか?』という、イーストウッド監督からのド直球のメッセージだと、理解しました。

事の大小に限らず、そういった、やらなきゃいけない瞬間って、常日頃、自分の日常で起こっているんじゃないかなぁと思います。

その時が来たら、逃げずに向かっていける自分でありたい…カッコつけすぎたかな(*´꒳`*)
スズタカ

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