さうすぽー

人魚の眠る家のさうすぽーのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.1
自己満足点 62点

「脳死は人の死と呼べるのか」

非常に難しくデリケートなテーマを扱った内容です。
しかも「脳死」という例が少ない題材を扱っています。

東野圭吾原作の映画なのですね。
以前から僕は東野圭吾の小説が好きと言ってるのですが、彼の作品で最も素晴らしいと思うのは「天空の蜂」、「容疑者Xの献身」、それからこの「人魚の眠る家」と考えています。

なのでこの作品は僕にとっても非常に思い入れが強いのですが、正直監督が堤幸彦という僕が好きではない監督だったのでだいぶ不安でした。
ですが、結果的には彼の作品の中では良かったです。
それでも普通でした。

まず、篠原涼子の演技が良かったです。
愛する娘が脳死状態に陥ったことでの葛藤や、行きすぎた愛情に狂っていく様を見事に熱演していました。

また、内容は比較的原作の内容を忠実に再現されていて、原作でも印象的な場面が観れて良かったです。
娘と母親の関係性も良かったです。

また、原作におけるテーマもしっかりと描かれていたので、感動出来るところは感動しました。

ただ、これはやはり嫌いな監督だけあって演出面が基本的に好きじゃなかったです。

篠原涼子が中盤で狂っていく時の家の描写はホラー感が出ていて良かったし、娘との回想シーンも良かったのですが、それ以外は特に誉めどころが無いです。

まず、照明があまりにも明るすぎました。
監督がドラマ出身だからかも知れません。
ドラマは明るい環境で観るので、夜のシーンでも明るく映すのですが、映画は逆です。
暗いスクリーンで観るので、光の加減はリアルにしないといけないと思います。
特に病院のシーンは綺麗に撮りたかったとかも知れませんが、正直眩しくて仕方なかったです。

実写の社会性のドラマなのに、こんなに照明を明るくしてしまうと全くリアルさが伝わらないし、かえって偽物っぽいです。

撮影も人物のドアップが何回かありました。
それがかなりアングルが近いです。

また、篠原涼子のお母さん役の松坂慶子も結構微妙でした。
娘が脳死状態に陥って取り乱した時の演技は笑ってしまいました。

やはりどんなに内容が良くても、画面の演出で左右されることに改めて解りました。

ですが、原作は素晴らしいので、この内容に興味のある方は是非とも原作本を読んでみてください!
こちらは非常におすすめです!