アサミ

人魚の眠る家のアサミのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.5
これを言っては元も子もないですが祖母が孫3人連れてプールに出かけるって展開がそもそも正気とは思えなくて開始早々観る気が削がれてしまいました。
親が3人揃ってて誰1人その判断に異議を唱えないなんてマトモな大人が1人もいないのでは..

というのはまあ置いといてこの作品のテーマは脳死か心臓死かというところだと思うんですけど娘を愛するあまり一線を超えつつある母の姿が痛々しかった。
脳死の娘の介護も生半可な気持ちでできるものでは無かったのだと思います。
見るからに生気が失われているというか、もう限界なんじゃないかと思える様子でしたよね。
それでも私が何よりつらかったのは今で言うきょうだい児となった弟のことです。
母が娘の生にこだわるあまり最低となる姿を見ました。
娘からしたらいい母だったかもしれません、でも弟からしたらこの先の人生ずっと苦しみかねない扱いをされたと思います。
そういった点で苦しくて泣きました。
母の愛に感動したのではありません。

ラスト娘が感謝を伝えるシーンも押し付けがましくて好きじゃありませんでした。
母親の自分の行動を正当化したいがための都合のいい幻覚のように思えて...
もちろん娘が本当にその様に思っていたかもしれませんがやっぱりそれは神のみぞ知ることですよね。

それでも脳死か心臓死か、考えさせられるいい作品だったとは思います。
母となったときにどう思うのか。
重い作品でした。
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